京都府議会 > 2017-06-01 >
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年議会運営委員会6月定例会 本文
平成29年議会運営委員会6月定例会 次第
平成29年6月定例会(第3号) 名簿・議事日程
平成29年6月定例会(第1号)  本文
平成29年府民生活・厚生常任委員会及び予算特別委員会府民生活・厚生分科会6月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成29年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会6月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成29年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会6月定例会1日目 本文
平成29年府民生活・厚生常任委員会及び予算特別委員会府民生活・厚生分科会6月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成29年府民生活・厚生常任委員会及び予算特別委員会府民生活・厚生分科会6月定例会1日目 本文
平成29年6月定例会(第3号)  本文
平成29年議会運営委員会6月定例会 表紙
平成29年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会6月定例会1日目 表紙
平成29年子どもの健やかな育みに関する特別委員会6月定例会 本文
平成29年子どもの健やかな育みに関する特別委員会6月定例会 次第
平成29年エネルギー政策特別委員会6月定例会 本文
平成29年エネルギー政策特別委員会6月定例会 次第
平成29年6月定例会[巻末掲載文書(目次)]
平成29年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会6月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成29年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会6月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成29年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会6月定例会1日目 本文
平成29年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会6月定例会1日目 次第
平成29年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会6月定例会1日目 本文
平成29年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会6月定例会1日目 本文
平成29年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会6月定例会1日目 次第
平成29年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会6月定例会1日目 表紙
平成29年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会6月定例会1日目 表紙
平成29年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会6月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成29年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会6月定例会1日目 表紙
平成29年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会6月定例会1日目 次第
平成29年府民生活・厚生常任委員会及び予算特別委員会府民生活・厚生分科会6月定例会1日目 次第
平成29年議会運営委員会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会6月定例会 表紙
平成29年高齢社会の安心・安全対策特別委員会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会6月定例会 本文
平成29年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会6月定例会1日目 次第
平成29年子どもの健やかな育みに関する特別委員会6月定例会[ 参考資料 ]
平成29年子どもの健やかな育みに関する特別委員会6月定例会[ 配付資料 ]
平成29年エネルギー政策特別委員会6月定例会[ 参考資料 ]
平成29年エネルギー政策特別委員会6月定例会[ 配付資料 ]
平成29年議会運営委員会6月定例会 次第
平成29年議会運営委員会6月定例会 表紙
平成29年スポーツ振興特別委員会6月定例会[ 参考資料 ]
平成29年スポーツ振興特別委員会6月定例会[ 配付資料 ]
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 次第
平成29年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会6月定例会[ 配付資料 ]
平成29年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会6月定例会 本文
平成29年高齢社会の安心・安全対策特別委員会6月定例会[ 配付資料 ]
平成29年高齢社会の安心・安全対策特別委員会6月定例会 本文
平成29年議会運営委員会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 表紙
平成29年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会6月定例会 次第
平成29年高齢社会の安心・安全対策特別委員会6月定例会 次第
平成29年6月定例会(第7号)  本文
平成29年スポーツ振興特別委員会6月定例会 本文
平成29年スポーツ振興特別委員会6月定例会 次第
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 本文
平成29年子どもの健やかな育みに関する特別委員会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年エネルギー政策特別委員会6月定例会 表紙
平成29年京都府行政の今後のあり方に関する特別委員会6月定例会[ 参考資料 ]
平成29年6月定例会(第7号) 名簿・議事日程
平成29年スポーツ振興特別委員会6月定例会 表紙
平成29年高齢社会の安心・安全対策特別委員会6月定例会[ 参考資料 ]
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 次第
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 本文
平成29年6月定例会(第2号)  本文
平成29年6月定例会(第2号) 名簿・議事日程
平成29年議会運営委員会6月定例会 本文
平成29年議会運営委員会6月定例会 次第
平成29年6月定例会(第6号)  本文
平成29年6月定例会 目次
平成29年議会運営委員会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年6月定例会(第5号)  本文
平成29年6月定例会(第4号)  本文
平成29年6月定例会(第4号) 名簿・議事日程
平成29年6月定例会(第1号) 名簿・議事日程
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 次第
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会6月定例会 表紙
平成29年議会運営委員会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年議会運営委員会6月定例会 次第
平成29年議会運営委員会6月定例会 表紙
平成29年府民生活・厚生常任委員会及び予算特別委員会府民生活・厚生分科会6月定例会1日目 表紙
平成29年6月定例会(第6号) 名簿・議事日程
平成29年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会6月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成29年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会6月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成29年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会6月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成29年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会6月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成29年6月定例会(第5号) 名簿・議事日程
平成29年議会運営委員会理事会6月定例会 本文
平成29年議会運営委員会6月定例会 本文
平成29年議会運営委員会6月定例会 次第
平成29年議会運営委員会6月定例会[ 別紙 ]
平成29年議会運営委員会6月定例会 本文

  • "マンション"(/)
ツイート シェア
  1. 京都府議会 2017-06-01
    平成29年6月定例会(第2号)  本文


    取得元: 京都府議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成29年6月定例会(第2号)  本文 2017-06-21 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 73 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長村田正治君) 選択 2 :  ◯議長村田正治君) 選択 3 :  ◯巽昭選択 4 :  ◯議長村田正治君) 選択 5 :  ◯知事山田啓二君) 選択 6 :  ◯議長村田正治君) 選択 7 :  ◯巽昭選択 8 :  ◯議長村田正治君) 選択 9 :  ◯知事山田啓二君) 選択 10 :  ◯議長村田正治君) 選択 11 :  ◯巽昭選択 12 :  ◯議長村田正治君) 選択 13 :  ◯教育長橋本幸三君) 選択 14 :  ◯議長村田正治君) 選択 15 :  ◯巽昭選択 16 :  ◯議長村田正治君) 選択 17 :  ◯浜田良之選択 18 :  ◯議長村田正治君) 選択 19 :  ◯知事山田啓二君) 選択 20 :  ◯議長村田正治君) 選択 21 :  ◯浜田良之選択 22 :  ◯議長村田正治君) 選択 23 :  ◯知事山田啓二君) 選択 24 :  ◯議長村田正治君) 選択 25 :  ◯浜田良之選択 26 :  ◯議長村田正治君) 選択 27 :  ◯知事山田啓二君) 選択 28 :  ◯議長村田正治君) 選択 29 :  ◯浜田良之選択 30 :  ◯議長村田正治君) 選択 31 :  ◯知事山田啓二君) 選択 32 :  ◯議長村田正治君) 選択 33 :  ◯浜田良之選択 34 :  ◯議長村田正治君) 選択 35 :  ◯知事山田啓二君) 選択 36 :  ◯議長村田正治君) 選択 37 :  ◯浜田良之選択 38 :  ◯議長村田正治君) 選択 39 :  ◯知事山田啓二君) 選択 40 :  ◯議長村田正治君) 選択 41 :  ◯浜田良之選択 42 :  ◯議長村田正治君) 選択 43 :  ◯知事山田啓二君) 選択 44 :  ◯議長村田正治君) 選択 45 :  ◯浜田良之選択 46 :  ◯議長村田正治君) 選択 47 :  ◯知事山田啓二君) 選択 48 :  ◯議長村田正治君) 選択 49 :  ◯浜田良之選択 50 :  ◯議長村田正治君) 選択 51 :  ◯教育長橋本幸三君) 選択 52 :  ◯議長村田正治君) 選択 53 :  ◯浜田良之選択 54 :  ◯議長村田正治君) 選択 55 :  ◯教育長橋本幸三君) 選択 56 :  ◯議長村田正治君) 選択 57 :  ◯浜田良之選択 58 :  ◯議長村田正治君) 選択 59 :  ◯副議長(山口勝君) 選択 60 :  ◯林正樹君 選択 61 :  ◯副議長(山口勝君) 選択 62 :  ◯知事山田啓二君) 選択 63 :  ◯副議長(山口勝君) 選択 64 :  ◯林正樹君 選択 65 :  ◯副議長(山口勝君) 選択 66 :  ◯知事山田啓二君) 選択 67 :  ◯副議長(山口勝君) 選択 68 :  ◯林正樹君 選択 69 :  ◯副議長(山口勝君) 選択 70 :  ◯知事山田啓二君) 選択 71 :  ◯議長村田正治君) 選択 72 :  ◯林正樹君 選択 73 :  ◯議長村田正治君) ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1: ◯議長村田正治君) これより平成29年6月京都府議会定例会を再開し、直ちに本日の会議を開きます。            ──────────────────── 2: ◯議長村田正治君) 日程に入ります。日程第1、代表質問を行います。  通告により順次発言を許します。  まず、巽昭君に発言を許します。巽昭君。    〔巽昭君登壇〕(拍手) 3: ◯巽昭君 自由民主党議員団の巽昭でございます。会派を代表いたしまして、山田知事並びに関係理事者に質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  まず、今定例会に提案をされている6月補正予算案についてであります。  府内経済の動向は、これまでの経済対策が実を結び、穏やかな回復基調にあると言われています。雇用情勢も府内有効求人倍率が1.49倍になるなど明るい兆しが見受けられますが、その一方で、府内企業の人手不足の問題はますます深刻化しています。このような中、今回の補正予算では、府内企業の人手不足の緊急対策として、府外大学生などの移住促進を図るための経費が計上されており、地域創生の観点からも早期の事業効果を期待するものであります。このほか、北近畿タンゴ鉄道の緊急安全対策や自転車の安全な利用を促進するための条例の改正を踏まえた普及啓発、また府民のスポーツニーズに応えるためのアイスアリーナや京都スタジアム(仮称)の整備に向けた取り組みなど、いずれも時宜にかなったものであり、会派を代表して高く評価するとともに、早期の執行に御努力をいただきますようにお願いを申し上げます。  それでは質問に入ります。  まず、京都府の高速道路網整備について質問いたします。  本年4月30日、新名神高速道路の城陽-八幡京田辺間が開通し、府の背骨となる重要な高速道路軸が一本につながり、京都府の北端の京丹後市から南端の木津川市までの約140キロが2時間足らずで結ばれたことは、昭和60年に林田知事が府の南北を高速道路でつなぐ京都縦貫自動車道の構想を発表されて以来、32年の年月を経て実現されたものであります。  この高速道路軸の意義について、林田知事は昭和60年6月議会で、「府の北部の発展を図るためには、北部と京都市域を直結し、時間距離を短縮することが重要」とされ、また荒巻知事は昭和63年2月の京都丹波道路の開通式で、「この道路は南北に長い京都府の均衡ある発展にとってはかり知れない意義を持つ」と述べられました。そして、山田知事は平成25年4月の京都第二外環状道路開通式で、「安心・安全の軸、長年のテーマである府の南部・北部の均衡ある発展のための軸になる道路が完成した」と力強く発言をされました。  今、京都府の最北端の京丹後市から京都市に来ている者として、この14年間、新たな区間の開通に立ち会い、通行が始まるたびに、まさに目からうろこが落ちる思いがしました。まず、平成20年9月に京都縦貫自動車道綾部安国寺-京丹波わち間の供用開始から始まり、山陰近畿自動車道宮津与謝道路、野田川大宮道路、京都第二外環状道路、京都縦貫自動車道の全線開通、そして本年の京都府の南北を結ぶ140キロの高速道路軸が完成をいたしました。  道路整備は環境を変える力を持っております。例えば、旧丹後町と旧木津町は京都府の最北端と最南端として昭和62年から少年野球などの交流事業でつながってまいりました。当時はバスで約5時間かかっていたものが今では約2時間まで短縮され、改めて、道路は人と人、地域と地域のきずなを深めるものであると確信をいたしました。  また、観光面においても、京丹後市の観光入込客数は、過去10年間は170万人で推移していたものが、京都縦貫自動車道の全線開通により、平成27年度は219万人となり、平成28年度も野田川大宮道路の開通により好調が続いております。  私は、野田川大宮道路の開通記念式典でこんな挨拶をしました。「私たち日本海側に暮らす者は今でも山陰と呼ばれ、1960年代までは裏日本と呼ばれ、そして京丹後市は奥丹後と呼ばれていました。まさに、ここは陰で裏で奥という立場にありましたが、高速道路整備などをもって早くこのグローバルな競争の中で土俵に上がらせてほしいと要望してまいりました。その要望がかなった今、この道路を通じて、真剣に地域の皆さんが地域振興をしなければなりません」と申し上げました。まさしく、北部に住む府民にとって将来の希望であり、これまで府内各地の道路整備を着実に進めてこられた山田知事に感謝を申し上げます。  また、その先線となる山陰近畿自動車道大宮峰山道路については、平成27年度、国の直轄権限代行事業で取り組まれることが決定し、現在、事業が進められております。  そこで、お伺いいたします。京都府の高速道路軸がようやく一本につながった今、府内高速道路の整備について、今後どのように進められるのか、知事の御所見をお聞かせください。  また、10年前に、日本に残された3つのミッシングリンクと言われていた、三陸海岸、四国東部、そして山陰近畿自動車道網野-豊岡間のうち、さきの2つはこの間に計画が進んでおります。山陰近畿自動車道の網野-豊岡間はルートが決まらないまま、まだ残されています。
     そこで、お伺いします。大宮峰山道路に続く都市計画決定されルートが明確となっている峰山から弥栄-網野間の事業化、並びに、その先の府県境に至るルート未決定区間の今後の見通しについて、知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。  次に、スポーツ施設の整備についてお伺いいたします。  初めに、京都スタジアム(仮称)の整備についてでありますが、平成24年12月に亀岡市が建設地に選定されてから4年半が経過したところであります。この間、アユモドキ等の自然と共生するスタジアムの実現を目指して、アユモドキヘの影響と対策について、京都府と亀岡市が連携し、また環境保全専門家会議の提言も受けて慎重に検討が進められてきたところであります。  去る5月17日の環境保全専門家会議では、スタジアム建設によるアユモドキの生息環境への影響が軽微として工事を進めることが了承されるとともに、6月5日の公共事業評価第三者委員会において建設工事への着手が了承され、いよいよ早期の着工、完成へ動き出すものと期待をしているところであります。  本スタジアムは、北部から南部に至るまで府内の幅広い地域から、子どもたちや府民の皆様が公共交通機関を利用し日帰りで試合観戦が可能であり、府内の子どもたちに一日も早く夢や感動を与えていただきたいと思います。また、2020年東京オリンピック・パラリンピック、翌年のワールドマスターズゲームズ2021関西を契機とした府内のスポーツ振興と北中部地域の振興を一層図るためにも、スタジアムの整備を早急に進めていくべきと考えております。  本スタジアムの早期完成に向けた知事の決意をお伺いするとともに、今後、府内のスポーツ振興や北中部地域の振興の拠点となり、アユモドキ等の自然と共生するスタジアムの実現にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、通年型アイスアリーナの整備についてお伺いします。  府内のアイススケート場については、2005年に醍醐スケートリンクが閉鎖されてからは、府内では冬季限定で開設される京都アクアリーナがあるのみで、夏場の練習場所がなく、フィギュアスケートやアイスホッケーの選手たちは、大阪府や滋賀県などの他府県のスケート場で練習しているのが現状であります。このような厳しい状況の中でも、これまでに世界で活躍する数多くのフィギュアスケート選手を輩出し、現在も宮原知子さんや本田真凛さん、白岩優奈さんなど、世界や日本で注目を浴びる選手が京都で育ってきているところであります。しかし、今のままでは選手たちの練習場所の確保や競技会の開催がさらに困難な事態となっており、京都在住の有望な選手が他府県に流出するという事態も今後想定されるところであります。  こうした状況の中で、昨年9月に、京都府スケート連盟と京都府アイスホッケー連盟が山城総合運動公園内に通年型アイススケート場を整備したいという要望書を知事に提出され、本年2月に関係者による協定が締結されたところであります。今議会において、施設の敷地造成のための補正予算案が提案されているところでありますが、府内の冬季スポーツの裾野の拡大や競技力向上に幅広く貢献する通年型アイススケート場について、早期完成に向けてどのように取り組んでいくのか、また完成後の施設の活用戦略についてどのように考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。よろしくお願いいたします。 4: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 5: ◯知事山田啓二君) 巽議員の御質問にお答えいたします。  巽議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして今回の補正予算案に対しまして高い評価をいただき、厚くお礼申し上げたいと思います。  まず、府域の今後の高速道路網についてでありますけれども、ことし4月に新名神高速道路の城陽-八幡京田辺間が開通いたしまして、昭和56年の着工以来36年を経て、京都府域の背骨となります高速道路が完成をいたしました。ここまで時間がかかりおくれたことは、京都府にとりましては大変なマイナスではなかったかなと思いますけれども、ようやく今、スタートラインに立てたという思いであります。  高速道路は、災害時の緊急輸送や医療の救急搬送等を支える府民の安心・安全、命を守りますとともに産業や観光における大動脈となり、北部の工業団地での企業立地や関西文化学術研究都市の充実、そして昭和62年には約1,500万人の観光客が京都市以外の入込客数だったんですけれども、平成28年には3,200万人まで、倍以上になったという形で、まさに大きな経済的な、また生活を支える原動力となっているというふうに考えております。  今後の高速道路の整備につきましては、現在事業中であり、新たな国土軸を京都にもたらします新名神高速道路の大津-城陽間、そして八幡京田辺-高槻間や日本海国土軸を形成する山陰近畿自動車道の大宮峰山道路の一日も早い完成を目指しますとともに、まだ未事業化区間であります山陰近畿自動車道の大宮峰山インターチェンジ以西の残る区間、さらには新名神高速道路と人口減少等の厳しい状況にあります相楽地域とを結び、地域のあり方を大きく変えることが期待される宇治木津線などを最優先課題として取り組んでいきたいと思っております。  その中で、山陰近畿自動車道につきましては、南海トラフ地震の被害が想定されます太平洋側のリダンダンシー機能を持ち、京都舞鶴港を初めとする日本海側の港湾を結ぶ、まさに国土軸として、国が責任を持って整備すべきものであります。これまでから兵庫県、鳥取県の両知事、国会議員、市町村長、そして巽議員を初め、府県や市町村議会議員、地元の関係者の方々とともに、毎年、東京において決起大会を開催し、一丸となって早期整備を要請してまいりました。直轄権限代行におきまして、そうした大会の成果が実りまして、平成27年度から事業化されました大宮峰山道路に引き続き、大宮峰山インターチェンジ(仮称)以西の早期事業化についても、先日8日に国土交通省に対し、直接要望を行ってきたところであります。特に、網野から先の府県境につきましては、山陰近畿自動車道の中で唯一、ルート調査も行われていない区間となっておりますことから、京都府の側といたしましても、今年度、京丹後市とともに、地域の交通課題や観光を初めとする産業地域振興の効果等を検証し、兵庫県とも連携しながらルートやインターチェンジの位置等の案を取りまとめて、早期にルートが決定されるよう国へ強く要請していきたいと考えているところであります。  次に、スポーツ施設整備についてでありますけれども、京都スタジアム(仮称)につきましては、亀岡市の要望を踏まえ建設地を選定後、アユモドキ等の自然との共生のため環境保全専門家会議を設置し、専門的な意見を踏まえ、開発と環境保全の両立を目指し、4年間にわたり取り組みを進めてまいりました。その結果、アユモドキに配慮した建設地の変更や工法、影響評価、現公園用地エリアを中心に、国や亀岡市と連携した広域的な生息環境の改善対策を講じることで、5月17日の環境保全専門家会議での了承を得、そして6月5日の公共事業評価第三者委員会で、工事着手について最終的な了解を得たところであります。  こうした開発と環境保全という相克する課題の両立というのは、我々にとりましても、いつの時代でも大変大きな課題であるというふうに考えておりますが、そうした中で今回のやり方というのは、ある面でいきますと、私は新たな公共事業のあり方を示せたのではないかなと思っているところでありまして、そうしたことが国や環境保護団体、関係学会などからの評価にもつながっているというふうに考えております。  工事着手の了承を得ましたので、地元の一刻も早くとの思いを踏まえ、今議会に用地取得の議案を提案したところでありまして、東京オリンピック・パラリンピックの前年度のオープンに向け、取り組みを進めていきたいと思います。  また、本スタジアムは単に京都府初となる専用球技場というだけではなくて、駅に近接した立地を活用した商業施設や他のスポーツ、そして災害備蓄倉庫の併設、さらにはアユモドキの展示まで多機能な施設として整備をしていきたいと考えておりまして、今後も子どもたちに夢を与え、地域の元気の源となりますような施設として整備を進めていきたいと考えているところであります。  通年型アイススケート場は、府が用地提供と造成、協議団体が利活用の促進、そして民間事業者が施設整備と運営を担うという三者連携型の施設としてこれから整備を進めてまいりたいと考えております。府内には通年型の施設がなくスケートに親しむ機会が失われてきただけに、優秀な選手の他府県流出などの結果を招いておりまして、今、京都府にとりましても、そうした中でこういう形で三者連携型でできるというのは大変よい形だなというふうに考えているところであります。  本施設は、メーン・サブアリーナを有し365日24時間営業を行う、一般愛好家からトップアスリートまで、スケートやアイスホッケーからカーリングまでの幅広い層を対象にしていく、そして地元市町村と連携した児童のスケート体験学習や他の競技団体とのコラボ、また利便性の高い南部地域の立地を生かし、大阪や奈良県等の近隣府県からの広域的な利用も考えられるという大変マルチな施設になるというふうに私は考えております。  早期完成に向け、今議会に造成工事費を盛り込んだ予算を提案させていただいたところでありますけれども、この工事を進めますとともに、造成完了後、速やかに民間事業者による施設建設が始められるよう宇治市との調整を図り、さらに地元市町村や公園管理者を含めた協議会を立ち上げて利活用の促進策を検討するなど、事業スキームを生かした三者連携により、平成30年度末の開業を目指していきたいと考えているところであります。 6: ◯議長村田正治君) 巽昭君。    〔巽昭君登壇〕 7: ◯巽昭君 御答弁ありがとうございました。スポーツ施設の整備でありますが、大変すばらしい設備で一流のプレーを見ていただく、これは子どもたちだけではなくて、府民の皆様に感動や夢や希望を与えるものであります。ぜひ、早期の実現をよろしくお願いしたいと思いますし、そればかりでなく、府内のスポーツ施設の充実も含めて、よろしくお願いしたいと思います。  道路整備についてであります。皆さんもよく御案内のとおりに、道路は地域の活力をつないでいきます。夢や希望をつないでいきます。道路はふるさとをつないでいきます。きずなをつないでいきます。そして、道路は心をつないでいきます。そして、道路は一朝一夕にできるものではありません。この間、将来を見据えてしっかりと決断をしていただきました林田知事、荒巻知事、そして山田知事に改めて感謝を申し上げるところであります。  また、新しい道路ができると、本当に府民の皆さんから喜んでいただけますが、すぐに「もうできひんの。次はいつできるの」という言葉で府民の皆さんから質問をよくされます。これは府民の皆さんの正直なお声、そして切実な願いであると思います。これを実現していくのが行政であり、私たち議員の仕事であると思います。今後とも、よろしくお願いをいたします。  それでは、次に、人口減少社会への対策についてお伺いいたします。  まず、少子化対策です。先日、新聞を読んでいますと、「出生数初の100万人割れ」「合計特殊出生率1.44」という見出しが目に飛び込んできました。今まで政府は、既に平成6年に、子どもの減少傾向を問題として捉え、「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」、いわゆるエンゼルプランを策定され、安心して子どもを生み育てることができる環境整備、家庭における子育てを支えるため、国、地方公共団体、地域、企業、学校などあらゆる社会の構成メンバーが協力していく仕組みの構築などを挙げ、取り組みが進められてきました。しかし残念なことに、合計特殊出生率は平成17年には過去最低となる1.26になり、あれから10年、近年では1.4を超える数値にまで回復してきたものの、人口を維持するために必要とされる2.07以上にはほど遠いものがあります。  京都府の状況を見てみますと、平成28年の合計特殊出生率は1.34で全国44位、平成27年が1.35で全国45位となっております。少し詳しく地域別に見てみますと、福知山市が1.96と府内で最も高くなっているほか、中丹・丹後地域はいずれも1.5から1.8と上位10位以内となる一方で、京都市や相楽東部は1.1前後と低くなっております。中丹・丹後地域も昭和62年ごろまでは出生率が2.0を超えていました。この地域から若い人たちが出生率の低い都市部に転入し全体の人口を支えてまいりましたが、現在はそれもできなくなり、京都府全体の人口も減少傾向にあります。  このような中、京都府では昨年4月に「京都府少子化対策条例」を施行し、本年4月からは「京都府少子化対策基本計画」を実施しています。これまでからも経済的負担を軽くするための医療費助成や、きょうと婚活応援センターの創設など、幅広い取り組みをしてきました。計画の趣旨には、少子化の進行に歯どめがかからない状況にあるものの、府民を対象とした実態調査では、未婚者のうち結婚を希望する府民の割合は85.5%で、また理想の子ども数は約2.4人で、条件や環境が整えば家庭を持ちたい、子どもを産みたいとの希望は高いと書かれています。  そこで、お伺いをいたします。広域行政を担う京都府では、どうしても府内各地域均一の施策を考えることになりますが、やはり地域が抱える少子化に対する課題はさまざまであります。京都府では、地域が抱える課題をどのように分析・認織し、今後どのような対策を講じようとされているのか、お伺いをいたします。  次に、定住人口の増加についてです。少子化の先には人口減少社会があります。既に京都府の総人口は平成16年の約265万人をピークに減少しており、国の推計では、2040年には府の人口が約15%減少するとの試算も出ております。人口が減少すると、仕事の創出不足や労働力の提供不足、公共交通の衰退、経済活動の縮小など、これまでは人口流入によって支えられていた都市部においても例外なくこのような事態がやってきます。  京都府が策定した人口ビジョンを見てみますと、府北部地域では、15歳から19歳の人口転出が大きく、20歳から29歳の人口転入があるものの、全体としては大きく人口減少となっています。中部地域を見てみますと、19歳以下の人口は転入のほうが多いのですが、大学卒業時を含む20歳から24歳の人口転出が多く、やはり全体としては人口減少となっております。京都市域を見てみますと、10歳から19歳の人口転入が多く、大学卒業後の20歳から29歳の人口が大きく転出するものの、全体としては人口増となっています。南部地域はといいますと、乙訓地域や学研地域で人口増が見られるものの、相楽東部では人口転出が多くなっています。  このように地域によって特徴は異なるわけですが、先月まで副議長として、地元だけでなく府内各地城を見て回り、また各市町村長さんとお話しする機会もありました。その際の共通の課題は、やはり人口流出に伴う人口減少と地域活性化の必要性でした。言いかえると、若い人たちが夢や希望を持って挑戦できるふるさとづくりはどう進めていくのか、生まれ育ったふるさとに誇りや愛着を持てる教育はしっかりできているのか、また、ふるさとに帰ってこいと本当に育てているのかという課題はたくさんありました。  私の地元で行われた3月の成人式の後、成人式を迎えた人たちが集まっている2次会の場で「みんなふるさとに帰ってこいよ」と声をかけたら、半分ぐらいの子どもたちが「親からは帰ってこなくてもいいと言われている」と。私はびっくりいたしました、まだこんなことを言っているんだと。確かに、私の世代はそういうことを聞いたことがあります。これでは子どもたちがふるさとに帰ってくるわけがありません。まず、責任世代の私たちがふるさとを愛し、ふるさとの未来のために、人口減少対策を真剣に考えていかなければならないと思っています。  地域別の転入・転出人口について、現在は京都市域であっても転入者が年々減少しています。このような傾向が続けば、いわゆる都市部であっても地域社会の衰退が現実のものになりつつあります。先ほど問題提起させていただいた少子化対策とあわせて考えてみますと、今申し上げた人口流出問題は、結局のところ、地域社会をどうやって維持するのかという共通の問題に行き着きます。地方から大学に通うために出ていった子どもたちが卒業後、生まれ育った地域で就職し、家庭を持ち、子育てをする。都市部においても、結婚、出産が今よりふえることで、地方からの人口に頼らなくても都市機能が維持できる。そんな京都府をどう創造していくのか、大きな課題であります。  そこでお伺いをいたします。交流人口拡大による定住人口拡大までを見据えた幅広い視点で取り組みを進めていただきたいと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、認知症対策についてお伺いします。  先ほどは少子化について見てきましたが、同時に進行しているのが高齢化であります。平成28年3月時点における京都府の65歳以上の高齢者数は71万人を超え、高齢化率は27.7%、4人に1人以上が高齢者という状況になっております。誰もが年をとることは避けて通れません。ここにいる誰もがいずれ高齢者の仲間入りをするわけであります。その際、不安に感じるのが、やはり介護の問題であります。自由に歩き回ることができ、好きなものを食べることができる、友人との会話を楽しみ、老後を謳歌したい。みんなそう思っているはずであります。でも、高齢化が進むと、体は元気でも認知症を発症するケースもふえてくると見込まれています。  ことし4月には、国立京都国際会館において「第32回国際アルツハイマー病協会国際会議」が開催されました。会議には過去最多となる約200人の認知症の方が出席され、みずからワークショップを企画・運営された方もおられたとのことであります。当事者グループによるワークショップでは、「その人らしさを失わないように人生を切り開く助けをしてほしい」とか「認知症の人を中心に地域をどうつくるのかといった話し合いの場が全国に広がってほしい」などの意見が出されたとのことでありました。  京都府では、平成25年度に、3つの大きな視点を掲げた「京都式オレンジプラン」を策定し、平成29年度までを計画期間として取り組みが進められてきました。この3つの視点、すなわち全ての人が認知症のことを正しく理解する、予防・初期からターミナル期まで途切れない認知症の医療・介護の仕組みづくり、認知症の人、家族と地域を支える人材の育成、さらには目指すべき姿として、「認知症になっても本人の意思が尊重され、住みなれた地域で暮らし続けられる社会」を掲げています。  そこで、お伺いいたします。まず、オレンジプランに掲げた目標や視点に対し、どの程度取り組むことができたのか、これまでの成果や見えてきた課題についてお聞かせをいただきたいと思います。  次に、現在の計画は今年度が最終年度となりますが、計画改定に向けて、どのような方針のもと取り組もうとしているのか、お伺いをいたします。 8: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 9: ◯知事山田啓二君) 少子化対策についてでありますけれども、これまでから私どもは少子化対策の総合戦略会議を踏まえて条例を施行し、そして基本計画を策定し、これに基づき総合的な少子化対策に取り組んでまいりました。この結果、合計特殊出生率は、過去最低は平成16年の1.14でありましたけれども、そこから平成28年には1.34まで上昇しております。約0.2上がっておりまして、この上がり方は全国平均よりも上回っている状況にはあるんですけれども、ただ、焼け石に水というのが正直な感想でありまして、そのスピードは遅く、出生数についても3年連続して2万人を下回り、回復に至る道筋が見えている状況ではないと思います。  この中で、平成28年の年代別出生数を見ますと、20歳代が減少する一方で30歳代後半の出生数がふえてくる、第2子以降の出生数は変わらないものの第1子は減少しているということで、婚姻件数の減少、いわゆる未婚化や晩婚化ということが大きな一因になっていることがうかがえるところであります。  さらに、地域ごとの状況を見ますと、合計特殊出生率につきましては、府内の女性人口の約6割を占める京都市が、全女性人口を対象としますと1.20程度ぐらい、住民基本台帳で京都市が出されると1.25ぐらいになるんですけれども、こういった点でやはり低いということ。そして、京都市を除きますと、京都は1.46ぐらいということで、全国平均をちょっと上回るような状況にはなります。そして、北部地域が高くて、南部地域は低い傾向にあります。しかし一方で、北部地域では進学や就職などを契機に若者が転出する、逆に南部地域では子育て世代の転入者が多く、待機児童対策など子育て環境の充実が課題となるというふうに、地域ごとに課題は異なっているのが現状であります。  少子化対策を進めるに当たりましては、こうした地域によっても異なりますし、また未婚化、晩婚化から東京一極集中までさまざまな要因が絡んでおりますので、国と府と市町村が一体となって対策を講じていかなければならないと思っております。  このため国に対しましては、幼児教育・保育料の無償化や子育てに係る教育費、医療費助成等、環境整備を強く要請してまいりました。そして、京都府におきましても、結婚から妊娠・出産、子育てまでの切れ目のない一貫支援を初め、教育や雇用、働き方、住環境などのまちづくりについてもさまざまな支援策を講じているところであります。さらに、過疎地域を中心に移住・定住を推進するなど施策に幅広く取り組みますとともに、ジョブパークにおきましても専門の窓口を設置して、UIJターンの就職相談ですとか支援も実施してまいりました。市町村は、北部地域では首都圏の団体と連携した婚活イベントの開催ですとか企業誘致など若者対策を、また南部地域では保育所整備や交流の場の提供など子育て環境の充実等を取り組まれているところでありまして、こういう中で私どもは、さらにこうした取り組みを支えていくために、他の自治体や企業などと連携した婚活支援ですとか、大学生と京都企業を結ぶインターンシップの取り組みですとか、こういう少子化対策をしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えているところであります。  次に、定住人口の拡大に向けた取り組みについてでありますけれども、私どもは少子化対策も講じているわけでありますけれども、少子化対策が実を結び各地域が自律的に定住人口をふやしていくというのは、これは正直いってかなり時間はかかるのではないかなと思っております。したがいまして、私どもといたしましては、定住人口をふやすための移住政策と教育政策と雇用政策をしっかり行いますとともに、都市と地方の交流や東京圏を初めとする他地域との交流推進による交流人口の拡大によって、都市と農村が支え合い、補い合って地域が元気になるような施策を講じていきたいと思っております。  このため京都府では、「海・森・お茶」等の京都づくりにおいて、それぞれの地域の連帯、活性化に取り組みますとともに、京都縦貫自動車道を初めとする広域交通基盤の整備など、観光や産業において交流人口を拡大することで地域経済の底上げを図っていく、そしてこれをDMOなどの官民挙げての組織を通じて定住人口の拡大に向けてつなげていく、そういう施策を今講じているところであります。  さらに、子育て世帯向け府営住宅の供給や、市町村が行う子育て世帯の住宅確保支援などの住環境整備、さらに大学等の不足による大学等進学年齢層の流出やUターン低迷の人材不足といった課題の克服のために、福知山公立大学や京都工芸繊維大学福知山キャンパス、府立大学における人材育成の取り組み支援、また府外大学生等の人材還流を促進するふるさとワーキングホリデー、また洛北高校に続き、園部、福知山、南陽の各府立高校への中高一貫教育の導入などの教育施策を進めてまいりました。あわせて、全国知事会長としても、大学の東京一極集中の是正や研究機関を含む政府関係機関や企業の地方移転を進めているところでございます。  さらに、基盤整備につきましては、先ほど申しましたような新名神高速道路や山陰近畿自動車道の整備のほかに、京都舞鶴港の機能化ですとか北部産業創造センターの整備など、人と物の流れを加速させる対策に取り組みながら、今後とも、定住人口、交流人口の拡大に向けて全力を挙げてまいりたいと考えているところであります。  次に、認知症対策についてであります。  4月の国際会議におきましては、認知症の方の発表を直接お聞きいたしましたけれども、不安やショックを乗り越えて人生を切り開いていく姿には大変感銘を受けたところであります。今、高齢化が急速に進む中、認知症は誰もがかかり得る可能性のある、もはや当たり前の病気になりつつあります。それだけに、認知症になってもできる限り住みなれた地域で当たり前に暮らせるような対策を進めることが必要だと私は考えております。ですから、こうした認知症の方を地域全体で支える仕組みづくり、そして一人一人の状態に応じた適切なサポート体制、さらには家族の方も含めてしっかりと相談をして支えていくような環境づくり、こうしたものを私どもは進めてまいりました。  京都式オレンジプランでは、その中で認知症の人と家族の望む社会の目標を10のアイメッセージに掲げ、これまで地域の見守りを担うサポート企業の登録は2,000事業所を超え、地域で活躍する認知症サポーターは約21万人を養成するところまでまいりました。さらに、疾患医療センターを全ての医療圏に設置し、認知症サポート医を103名養成いたしますとともに、医療従事者や介護職員約6,500人に対して研修を実施、さらに認知症カフェやNPO、社会福祉法人が府内の138カ所に設置されるなど、途切れない医療・介護の仕組みを構築いたしました。その上で、コールセンターの開設ですとか初期集中支援チームの全市町村での配置など、リンクワーカーも含めて寄り添い型の環境を整備しているところであります。そしてその上で、こうした各種施策がばらばらに行われるのではなくて、ワンストップで対応できるような中核施設が必要だということで、現在、来年春の開設に向けて全国の先駆けとなるような認知症の総合センターの整備を進めているところでありまして、宇治市内におきまして施設整備を開始しており、今年度、あわせて認知症の方や家族の方の視点を生かした支援プログラムを開発することにより、先を見通した先駆的なモデルを構築するよう、今、全力を挙げて取り組んでいるところであります。  今後は、さらに在宅医療、介護連携を進めますとともに、認知症になっても自分らしい生活を継続できるように当事者の思いに寄り添った取り組みの充実に向けてプランを改定していきたいというふうに考えておりまして、当事者や支援者の聞き取り調査を行い、アイメッセージや達成状況について評価するとともに、意見交換会を認知症の方々を含めて行いまして、一人一人の声がしっかり反映できるように改定をしていきたいと考えているところであります。 10: ◯議長村田正治君) 巽昭君。    〔巽昭君登壇〕 11: ◯巽昭君 御答弁ありがとうございました。私は、人口減少対策というのは、本当に市町村が主役であると思います。地域の課題は市町村でなければわかりません。例えばRESAS(リーサス)(地域経済分析システム)の資料を見させていただきました。男性の平均初婚年齢の町村ランキングというのがありまして、1位は高知県の本山町25.6歳、そして一番悪いワースト1位は同じ高知県の三原村で39.1歳とありました。同じ高知県であってもこんなに違う。これは、地域でしかわからないことがたくさんあると思います。ですから、どうか頑張る市町村のバックアップをよろしくお願いしたいと思います。  最後に、京都府の教育行政についてお伺いいたします。  昨今の教育や学校、子どもたちをめぐる環境は複雑化しています。府議会でも本年度より、子どもの健やかな育みに関する特別委員会が設置され、子どものいじめや貧困、虐待や学力向上、子育て支援策などを調査することとしています。  このような中、一昨日、大変気になるニュースがありました。舞鶴市内の中学校の女子生徒が校舎3階の教室からグラウンドに転落し、病院に搬送されたというものです。腰の骨を折るなど重傷ではあるものの、意識はあり、命には別状ないということなので、不幸中の幸いといっては失礼ですが、このことを何とか未然に防ぐことができなかったのかと考えると残念でなりません。報道によると、生徒がみずから転落した可能性もあるらしく、市教育委員会がその原因を調査しているとのことです。府、そして市教育委員会には、いじめが関係するのかどうかも含め、しっかりとした調査をしていただくようにお願いを申し上げます。  いじめの問題については、京都府では、何気ない冷やかしや悪ふざけが深刻ないじめに発展する可能性があることから、些細な兆候であっても、いじめとして認知し、早期の対応に努めていただいているところであります。場合によっては、さらなる取り組みの必要性も含めて検証していただきたいと思っています。  そのほかにも、近年、大きな課題となっているのが、子どもの貧困の問題です。保護者の貧困が子どもへと連鎖しないようにするために、子どもにしっかりとした学力を身につけさせ、将来、社会で自立していけるようにする必要があります。子どもの貧困対策、とりわけ学力の向上と希望進路の実現に向けて、教育や学校の果たすべき役割は大変重要であり、保護者の皆様の期待も大きいものがあると考えます。一層の御努力をお願いしたいと思います。  その一方で、教員の多忙化も問題になっています。文部科学省が4月に発表した教員の勤務実態調査では、教員の多忙化が一層進んでいることが明らかになりました。新学習指導要領の実施を見据え、新たな指導方法の検討など、自己研さんを積んでいただくためにも早急な対策が求められます。  さらに、私の地元の丹後地域では、生徒数の減少を踏まえた府立高校の在り方検討を進められ、3月に基本方針が決定されました。今後とも、子どもを第一にして、さらなる検討を進めていただくように強く要望いたします。  以上、教育や学校をめぐるさまざまな課題を申し上げましたが、これからの教育行政のかじ取りは大変厳しいものがあると思います。こうした中、本年4月から教育長に就任された橋本教育長は、長年、教育行政に携わってこられ、また知事部局での経験もあります。それらの経験も生かし、府民の皆様の御期待に応えていただきたいと考えております。  そこで、教育長にお伺いいたします。  まず、京都府の教育行政を担われるに当たっての基本的な考え方をお聞かせください。また、先ほど私が取り上げました諸課題への対応など、どのように教育行政を進めていこうとされているのか、御所見をお伺いいたします。 12: ◯議長村田正治君) 橋本教育長。    〔教育長橋本幸三君登壇〕 13: ◯教育長橋本幸三君) 巽議員の御質問にお答えいたします。  教育に対する基本的な考え方についてでありますが、変化の激しいこれからの社会を単に生き抜くだけではなく、豊かな人生やよりよい社会のつくり手となれるよう、子どもたちに幸せに生きる力を育む教育を目指していきたいと考えています。そして、生きていく上での基盤となる学習に加えまして、多様な価値や自己肯定感を大切にする教育を通じて、全ての人が幸せを感じられる共生社会の構築に教育の面から貢献していきたいと考えております。  次に、今後の教育行政の推進についてでありますが、第1は、これまでの継続的な取り組みを充実・強化していくことであります。例えば、御指摘のありましたいじめ対策では、詳細な調査とともに、隠れたいじめを意識して子どもたちの日々の様子の変化に着目し、予兆の段階からの早期対応等に緊張感を持って臨むよう、学校に改めて徹底をするほか、子どもの貧困対策では、学校を中心とした補充学習などの取り組みに加えまして、新たにスタートするこどもの城づくり事業との連携も視野に入れた対策に取り組んでまいります。  また、学力や体力の向上、府立学校の魅力づくりの推進や未来を見据えた高校のあり方の検討など、これまで進めてきた取り組みを継承し、さらに充実・発展をさせていきたいと考えております。  第2は、教育改革への積極的な対応であります。本年3月、思考力や問題解決能力をより重視するとともに、小学校の高学年から教科としての英語を導入することなどを内容とした新学習指導要領が告示をされました。また、センター試験にかわる新たなテストの導入を目指す大学入試改革が予定される中、本府として、確かな展望を持ちながら、実施に向けた準備体制の確立や、研修の充実等を通じた教員の資質向上に力を注いでまいります。  そして第3は、教員の長時間勤務の改善です。多くの教員は極めて多忙な状況にあり、先ほど申し上げたさまざまな教育課題に対応する十分な時間的余裕がないことから、この状況を改善するため、教育庁内に働き方改革の推進組織を立ち上げたところです。今後、学校における業務改善や部活動のあり方の見直しなど、教員の長時間勤務の改善に向けた取り組みを進めてまいります。  このように難しい課題も多数ありますが、私自身のこれまでの行政経験を生かし、市町教育委員会や保護者を初め、多様な関係機関との幅広い連携や協働を大切にしながら、府民の期待と信頼に応えられる京都府の教育行政の推進に全力で取り組んでまいります。 14: ◯議長村田正治君) 巽昭君。    〔巽昭君登壇〕 15: ◯巽昭君 御答弁ありがとうございました。子どもたちの問題というのは千差万別であります。とりわけ、先ほどの舞鶴の事例についてはしっかりと対応していただきたいと、そう願っております。保護者の願いは、子どもたちが安心・安全に学校生活を送れることであり、そのためには先生の役割は、先ほども申し上げましたように大変大きなものがあります。先ほど橋本教育長は、子どもたちに幸せに生きる力を育む教育を目指したいと答弁されました。ぜひとも、未来を担う子どもたちが安心・安全に毎日を明るく元気に過ごせる学校づくりを進められ、そして幸せに生きる力を育むことができるように頑張っていただきたいと思います。  私は、同僚、先輩、また多くの先生方のおかげさまで2年間、副議長を務めさせていただきました。ありがとうございました。この間、いろんなところに行き、いろんな人と出会い、いろんな経験をさせていただきました。その経験を生かして、これからは府民の皆さんのためにしっかりと訴えてまいりたいと思います。理事者の皆さんには少し難しいことやうっとうしいことも言うかもわかりませんが、どうかそっけなくされないで、温かい気持ちを持って育てていただきますようによろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 16: ◯議長村田正治君) 次に、浜田良之君に発言を許します。浜田良之君。    〔浜田良之君登壇〕(拍手) 17: ◯浜田良之君 日本共産党の浜田良之です。会派を代表して知事並びに教育長に、京都府政にかかわる重要課題について質問いたします。  質問に入る前に一言申し上げます。本議会に、京都スタジアムの土地取得の議案が提案されました。しかし、6月5日の京都府公共事業評価に係る第三者委員会では「平成25年水害の記憶が生々しく残っている。こういう雨が降ったときにはこうなるという説明をしてもらいたい」「アユモドキの種の保存をどうしていくのかは公共事業評価調書に書かれておらず不十分」「情報公開について、縦割りで、河川は複数行政にわたりなかなか情報公開されない」など、治水対策への不安、アユモドキの保全対策の不十分さ、住民への情報開示の不十分さなどについて、意見や懸念が続出したのではありませんか。2020年までに建設ありきで強引に工事に着工することなど到底許されません。土地取得議案は撤回するよう強く求めます。  なお、この問題については、我が会派として一般質問で質問させていただきます。  それでは、通告に基づき質問を行います。  最初に、平和と府民の安全を守る課題です。  憲法を無視した安倍政権の暴走に歯どめが完全になくなっています。自民・公明・維新の3党が強行採決した共謀罪法は、国民の内心を処罰する憲法19条違反の違憲立法です。しかも、審議の中では法務大臣が答弁するたびに問題が噴出し、最後は審議不十分なのに、加計学園疑惑の追及にも追い詰められ、中間報告という異常な禁じ手を使い、委員会採決を省略して本会議で強行可決するという議会制民主主義破壊の暴挙まで行いました。このような共謀罪法案の強行は到底許されないと思いますが、知事の認識をお聞かせください。  安倍首相は、2020年と期限を区切って憲法9条改憲を行うと発言しました。これは、憲法尊重擁護義務に反する違憲発言であることは明瞭です。しかも、憲法9条の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とした2項は残すが、3項に自衛隊の記述を書き加えようとしています。そうなれば、2項が空文化をし、自衛隊の無制限の海外での武力行使に道を開くことになります。  昨年6月議会の代表質問で知事は、「憲法の三大原則、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重は維持していく。そして、それをどう守るかということを国会において真摯に議論していただきたいと思っている」と述べられましたが、安倍首相が、国会の議論を飛び越えて憲法の大原則である平和主義を壊す9条改憲を明言したもとで、知事としてはっきりと反対の態度表明をすべきではありませんか。  安倍内閣が戦争する国づくりに突き進むもとで、運用から2年を経過した米軍レーダー基地の危険性が増しています。基地周辺では、米軍関係者による交通事故は、人身事故3件を含み44件発生し、騒音被害も続いています。その上、米軍は昨年11月から自衛隊福知山射撃場での実弾射撃訓練も開始しました。これまで、米軍レーダー基地は、日本の防衛に資するものであり抑止力になると言われてきましたが、集団的自衛権行使が容認され、安保法制が強行されたもとで京丹後の米軍レーダー基地には、アメリカ本土のミサイル防衛の前線基地としての特別な位置づけが与えられることから、今後さらなる基地機能の強化が予想されます。府民の命と安全を守るためにも、自衛隊福知山射撃場での米軍による実弾射撃訓練の中止と米軍レーダー基地そのものの撤去を求めるべきではありませんか。  一方、世界に目を転じれば、平和と軍縮に向けて大きく動き始めています。3月に開催された「核兵器禁止条約の国連会議」には、115以上の国の政府代表と世界中の市民社会の代表が集まりました。核保有大国とその同盟国は会議をボイコットし、日本政府は被爆国の政府でありながら会議に出席したものの「会議に参加することはできない」と発言し恥ずべき態度をとりました。しかし、被爆者の皆さんの「生き延びた私たちは、核兵器の非人道性と筆舌に尽くしがたい苦しみを、再び誰にも経験させてはならないと心に誓いました」と、この訴えが各国政府代表を動かし、歴史上初めての核兵器禁止条約が来月にも締結されようとしています。仮に、核保有国などの参加が得られなかったとしても、賛成する圧倒的多数の国々によって核兵器禁止条約が締結されるならば、核兵器の使用と威嚇は違法化され、核兵器の保有には悪の烙印が押されることになります。この歴史的な世界の流れに京都府も合流し、核兵器禁止条約の締結を支持すべきではありませんか。
     また、京都市を初め府内7市町村を含め全国の県知事、市町村長の賛同が658人にも達している「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」に、京都府も賛同が呼びかけられていると思いますが、どう対応されますか。  次に、京都府民の命と安全に重大な影響を与える原発問題についてお聞きいたします。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から6年3カ月が経過しましたが、今も10万人近い皆さんが不自由な避難生活を余儀なくされています。それなのに安倍内閣は、福島の原発事故はもう終わったものとして被災者への支援を次々と打ち切り、原発の再稼働を推進しています。そういう中で、高浜原発3号機・4号機の再稼働が強行されました。知事はこれまで「京都府には再稼働への同意権がないから」という理由で再稼働に対する態度表明を避けてきましたが、大津地裁の運転差しとめの仮処分決定を覆した大阪高裁決定を「尊重する」と表明されました。しかし、大阪高裁決定は「原子力規制委員会の新規制基準に適合していれば安全」というもので、地震や津波の想定や安全対策、避難計画などへの不安は払拭されていません。だからこそ、高浜原発が立地している高浜町で地域ぐるみで再稼働に反対の意見書を町や関電に提出する異例の事態が起こっています。隣接する京都府北部でも「唯一の避難路の拡幅も途中で、住民にわかりやすい安全対策をするまで再稼働は延期してほしかった」など、不安の声が上がっています。高浜原発で事故が起これば琵琶湖の水が放射能で汚染されるなど、京都府民の命と安全が脅かされます。また、今ある避難計画は実効性がなく、見直しが必要だということが昨年の広域避難訓練でも明らかになりました。  さらに、関西電力は運転期間が40年を超える老朽原発である、高浜1号機・2号機、美浜3号機の運転延長、さらに大飯原発3号機・4号機の再稼動も狙っています。老朽原発については、2月議会の代表質問で知事は「延長申請については、国に対して責任を持った慎重対応を行うよう強く求めてまいります」と答弁されました。しかし、老朽原発は、原子炉圧力容器や蒸気発生器などがもろくなっており、運転を続ければ壊れる危険があるために40年原則が決められたはずです。関西電力は、運転延長に当たって安全対策を講じたと言いますが、交換することができない原子炉本体の圧力容器がもろくなって大事故を起こさない保証はなく、老朽化した配管などは全部が交換できないためシートで覆うなど、間に合わせの工事をするだけです。これでどうして安全と言えるのでしょうか。  高浜原発の再稼働についても、老朽原発の運転延長についても、知事は結局、反対の態度を示しませんでした。その結果、高浜3・4号機に続いて、同1・2号機、大飯3・4号機、美浜3号機と次々と再稼働が強行されようとしているではありませんか。現時点で、きっぱりと反対の意思を表明すべきではありませんか。  以上、お答えください。 18: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 19: ◯知事山田啓二君) 浜田議員の御質問にお答えいたします。  まず、組織的犯罪処罰法の改正法についてでありますけれども、本法はまさに国権の最高機関として、立法の任に当たる国会において本質的に判断されるべきものであります。私といたしましては、国民生活に深くかかわる法律でありますだけに、国民の理解がより進むよう、また運用に当たっては人権に配慮し、厳格な適用を望むものであります。  次に、憲法改正についてでありますが、憲法第96条に改正手続が規定されておりまして、最終的には国民投票に付されるものであり、憲法のあるべき姿を議論することは憲法において予定されているところであります。  私といたしましては、これまでから本議場で答弁しているとおり、憲法の三大原則、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を維持した上で、それをどのように守っていくかということを国会を中心に国民全体で真摯に幅広く議論されることを願っており、9条においても日本の平和が守られるよう真摯な議論と国民に対する丁寧な説明をお願いしたいと思います。  次に、米軍の経ヶ岬通信所に関してでありますけれども、Xバンドレーダーにつきましては米軍基地の危険性が増しているというよりは、北朝鮮の言動を見ますと、この間の相次ぐミサイル発射など日本全体の危険性が今増しているという現状にあります。そうした中で、安全保障に責任を持つ国において、基本的にその当否を考えていくべきものであります。  京都府といたしましては、こうした国の防衛上の必要性について説明を受けますとともに、府民の安心・安全を守る立場から、安心・安全に関する事項について防衛大臣へ確認をし、これが履行されるよう京丹後市と連携して状況を確認しながら改善を求めてまいりました。また、陸上自衛隊福知山射撃場の限定使用につきましては、防衛大臣へ安全管理対策や騒音対策などについて要請を行い、回答を得ていく中で、現在、国において安全管理のためのフェンスの設置や騒音対策に向けた調査が実施されているところであります。いずれにいたしましても、今後とも、府民の安心・安全の観点から、必要があれば厳しく対応を求めるスタンスに変わりはございません。  次に、核兵器の禁止についてでありますが、我が国は核兵器のない世界を目指す大目標を掲げており、京都府におきましても、これまでからいかなる国の核実験に対しましても私と府議会議長と連名で厳重な抗議を行ってきているところであります。交渉のあり方は、状況を踏まえて国が判断していくことになりますけれども、核兵器廃絶国際署名につきましては、兵庫県を初め13県の知事が署名されておりますけれども、私も既に署名を済ませたところであります。  次に、原発再稼働についてでありますが、平成27年12月、高浜発電所の再稼働に対し、同意手続などの法的枠組みを確立すること、国の責任において安全確保に対応すること、避難計画の実効性を確保すること、運転期間が40年を超過した原発は原則廃炉とすべきであり、延長申請に当たっては国が責任を持ち慎重に対応することを国に要請してまいりましたけれども、これは先日の国への政策提案でも繰り返しまた求めたところであり、また地域協議会でもしっかりと主張してきているところであります。  この間、高浜におけるクレーンの倒壊事故を踏まえ、安全確保対策についても、関西電力から3回にわたり地域協議会において説明を受け改善をしていただきました。今後とも、国及び関西電力に説明を求め、万全の対策をとるよう強く要請をしてまいりたいと考えております。 20: ◯議長村田正治君) 浜田良之君。    〔浜田良之君登壇〕 21: ◯浜田良之君 再質問をさせていただきます。  共謀罪法についてですけれども、この法は犯罪の具体的行為があって初めて処罰されるという日本の刑法の大原則をねじ曲げて、内心の自由を初めとする基本的人権を侵害する違憲立法そのものです。しかも、環境保護団体や人権保護団体を隠れみのにした場合には処罰される、組織的犯罪者集団の構成員ではない周辺者も処罰されるなど、結局、広く一般市民を日常的に監視することになってしまいます。知事は、この共謀罪法の危険性、その中身についてはどう思われるのか、お聞かせいただきたいと思います。  憲法改正についてですが、安倍首相の指示で自民党の憲法改正推進本部が年内の憲法9条を含む改憲原案づくりに向けた議論を始めております。安倍首相が期限を決めて憲法9条を変えるために具体的に動き出している。憲法9条が変えられようとしている。まさに憲法の平和主義の原則が変えられようとしている。このことについて知事はどう思われるのか、お聞かせ願いたいと思います。  北朝鮮によるミサイル問題の発言がありましたけれども、この北朝鮮による相次ぐミサイル発射は国連安保理決議、6カ国協議の共同声明、日朝平壌宣言にも違反する暴挙であり、断じて許されません。同時にマティス米国防長官も「軍事的衝突が起これば信じられない規模の悲劇になる」と述べて、「外交努力を強調し全会一致で採択された国連安保理決議の対話を通じた平和的かつ包括的な解決の努力を歓迎する」としております。国連安保理決議に基づく経済制裁の全面実践・強化を行い、外交交渉によって非核化を迫るべきだと思います。  一方で、アメリカのトランプ政権は「力による平和」を掲げて、原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島近海に派遣し、原子力潜水艦ミシガンを韓国に入港させました。そういう中で、日本の海上自衛隊と米艦隊との共同訓練や「安保法制」に基づく米艦船の防護活動など、日米の軍事協力が強まっており、アメリカ本土のミサイル防衛の前線基地となる米軍レーダー基地の危険度は極めて高くなっています。こういう新たな情勢のもとで、米軍レーダー基地の撤去を求めるべきではありませんか。お答えください。  高浜原発の再稼働の問題ですけれども、結局、知事は「法律的にもきちんとしていただかなければイエス、ノーと言えない」ということを繰り返し述べておられます。再稼働そのものへの態度表明をされておりません。しかし、まいづる福祉会の事務局長さんは「障害のある人たちがどうやって避難するのか、行政として議論が尽くされていない中での再稼働は受け入れがたい」と厳しく指摘されています。京都府と同じく再稼働への同意権を持たない滋賀県の三日月知事は、「現時点でも再稼働を容認できる環境にはない」と明言されております。山田知事は、再稼働を容認できる環境にある、安全は保障されていると思われているのでしょうか。高浜原発の再稼働についても、老朽原発の運転延長についても、国や電力会社任せでなく新潟県のように独自の検証が必要ではないでしょうか。  なお、核兵器廃絶国際署名について、私が発言通告を出したときには、まだ署名されておりませんでしたけれども、されたということについては評価したいと思います。  再答弁をお願いいたします。 22: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 23: ◯知事山田啓二君) まず最初に、組織的犯罪処罰法の改正についてでありますけれども、この問題はやっぱり、基本的には国権の最高機関の国会が判断する、そして、それについては民主的な形で意見を言う、または裁判所が判断をしていく形になります。そうした中で、私としての立場から申しますと、これは私どもの生活に深くかかわっていく法律でありますだけに、国民の理解が得られるようにきちっと透明感を持って説明をしていくということと、人権上の問題については、しっかりと厳格な適用をしていただきたいということを求めていくというのが基本的な立場であります。  それから、憲法改正についてでありますけれども、平和主義についてそれを改めようという形での発言はなかったと思うんですね。ただ、平和主義をどう捉えるかという話でありますけれども、それはまさに国際的情勢の中でいかにこの国の安心・安全をどう守るかという観点から出ているものでありますので、こうした観点については、まさにしっかりと国会の場を通じて真摯に議論をしていくべきものであると思っているところであります。  それから、米軍基地の問題でありますけれども、まさにいろいろな緊迫した状況が起きている中で、私どもは、それを十分に知り得る立場にはございません。国際的な外交も含めての問題というものは、だからこそ政府が責任を持って対応すべきでありまして、私どもといたしましては、そうした中でまさに府民の安心・安全を直接守る立場からいろいろな問題について防衛省に申し入れているということでありますので、こういう中で判断をしていくべきものではないでしょうか。  それから、高浜原発の問題でありますけれども、私も滋賀県の知事さんとよく話しますけれども、非常に微妙な先ほど言ったような言い方をされているんですね。それはやっぱり同じ立場であるというふうに私は基本的に考えております。それだけに、国に対してもしっかりと要請をしてきているところでありまして、関西広域連合におきましても、滋賀県知事さんも入って要請活動を続けているということを御理解いただきたいと思っております。 24: ◯議長村田正治君) 浜田良之君。    〔浜田良之君登壇〕 25: ◯浜田良之君 共謀罪法について、「国会で決められたこと」というふうに言われましたけれども、宝塚市の中川市長は共謀罪法が成立した15日に、「十分な審議が尽くされていない」として同法の廃止を求める声明を発表されました。共謀罪法や9条改憲という日本の平和と民主主義にとって極めて重大な問題に知事が明確な態度表明をされないことは本当に残念だと思います。2013年12月に強行された特定秘密保護法、2015年9月に強行された安保法制(戦争法)、そして今回の共謀罪法は、いずれも憲法を踏みにじった違憲立法であり、海外で戦争する国づくりの道具立てになっています。私ども日本共産党はこの3つの悪法をそろって廃止し、日本の政治に立憲主義、民主主義、平和主義を取り戻すために全力を尽くしてまいります。そして、平和を願う全ての皆さんと力を合わせて憲法9条を守り抜くために頑張る決意を表明し、次の質問に移ります。  次に、医療・介護の問題についてお聞きをいたします。  この間の社会保障の相次ぐ改悪によって、「年金が減らされ生活が苦しい」「医療費の負担が重く、診療を控えている」「介護職員の賃金が低いので、なり手がいない」など、府民の命にかかわる深刻な事態が広がるもとで、今、府民「みんなのいのちを守る」署名運動が府内各地で始まっております。介護の分野では、介護保険制度の改悪によって施設に入れず、在宅介護に頼らざるを得ないひとり暮らしの高齢者や、老老介護の家庭がふえています。私の地元でも、「夫の介護に日々追われて休むいとまもなく、私のほうが倒れそうです」「近所のひとり暮らしのお年寄りが、火の不始末でぼやを出した」「認知症の妻がちょっとしたすきに家を出てしまって、夜中まで捜し回った」など、深刻な事態が相次いでいます。  ところが国は、「『我が事・丸ごと』の地域づくり」という名のもとに、国や自治体が地域福祉から手を引き、地域住民の自助・互助に役割を押しつけようとしています。さきの国会では、徹底審議を求める野党や医療・福祉関係者の声を無視して、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等改定案」の採決が強行されました。同法案は、一定所得以上の人の利用料を3割負担にすることにとどまらず、地域共生社会実現の名で、高齢者、障害者などの施策に対する国・自治体の公的責任を大幅に後退させるものになっています。全市町村が介護の自立支援・重度化防止に取り組むことの制度化は、介護費用を抑制した地方自治体に対する国の財政支援を手厚くするというもので、必要な介護から利用者を締め出す事態を続発させかねません。  知事は、今回の介護保険法の改悪をどう受けとめておられますか。国に対して、今回の介護保険法改悪を実施しないよう求めるべきではありませんか。  利用料の2割負担の導入によって、私の地元の北区のある老人施設では、「要介護3でデイサービスを週3回利用していたが、利用料が月1万3,000円も上がり、やむなく週2回の利用に変えた」「老健施設のショートステイで、個別リハビリの回数や日数を減らした」、こういう深刻な影響が出ております。「21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会」のアンケートには、「食費、居住費負担がふえたので、ユニット型への申し込みをキャンセルした」「預金もないのに月に2万円も負担がふえ、家族の生活を圧迫している」など、深刻な声が寄せられています。負担増が新たな介護難民を生み出しています。京都府独自に介護保険料や利用料の負担軽減を行うべきではありませんか。  医療の分野では、70歳以上の医療費は、2割または3割の窓口負担が3年前から導入されていますが、この8月からは高額療養費の負担上限も引き上げられます。さらに、低所得者などを対象にした後期高齢者保険料の特例減免も廃止の方向です。こうした国が進める負担増路線から府民の命と暮らしを守るためにも医療費の負担軽減が必要ですが、本府は65歳から69歳を対象にした老人医療助成制度、いわゆるマル老について、国の70歳以上の医療費負担増に合わせて改悪をし、助成対象を狭めた上で窓口負担を2倍にしました。医療費の負担が重いために、医者にかかりたくてもかかれない事態が生まれています。少なくとも、老人医療助成制度は1割負担に戻した上で、70歳から74歳も対象に加えるよう求めますが、いかがですか。  次に、1年後に都道府県化が予定されている国民健康保険について伺います。今でも保険料が高過ぎて、払いたくても払えない事態が相次いでいます。ある50歳代の男性は、東京で正規職員として働いていましたが、母の介護のために帰京し、ガソリンスタンドで非正規で働き、月10万円余りの収入のため国保料を20万円滞納してしまったそうです。全日本民医連の昨年度の調査によると、経済的理由で手おくれとなった58件の死亡事例のうち、国保の無保険・資格証・短期証だったケースが34件に上っています。まさに命にかかわる問題です。それなのに、都道府県化に合わせた法定外繰り入れの中止などによって、国保料の大幅引き上げの可能性が起こっています。例えば向日市では、納付金の試算を行って、一般会計からの繰り入れをやめ、17.5%の国保料の値上げが必要だと判断し、ことしから再来年にかけて国保料の連続値上げを予定しています。精華町や宇治田原町でも、法定外繰り入れはしないと当局が言明をしています。  知事はこれまで、都道府県化による保険料の負担増を懸念する声に対して、「仕組み的にはナンセンスな話だ」と否定をされ、「都道府県単位で国保を維持していくような体制をつくっていくことによって、安定的な制度にしていくことが必要」と述べるなど、国保の都道府県化を率先して推進をされてきましたが、現実に国保料の値上げが起ころうとしていることの責任は重大だと考えますが、知事の認識はいかがでしょうか。  国保料については、全国知事会も「協会けんぽ並みに引き下げるため」として1兆円の公費投入を要望されましたが、わずか3,400億円に抑えられました。これでは、国保の構造的な問題が解決しないことは明らかではないでしょうか。国保料・国保税の値上げにならないように、国に公費投入額の引き上げを求めるとともに、京都府が納付金を決める際に配分を考慮することや、一般会計からの繰り入れは市町村の判断でできるということを周知徹底するべきではありませんか。  また、国保法44条等に基づく保険料一部負担金減免制度の周知徹底と積極的な活用に、京都府がイニシアチブを発揮すべきではありませんか。お答えください。 26: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 27: ◯知事山田啓二君) 医療・介護についてでありますけれども、高齢化という事態が本当に急速に進む中で、社会保障制度は毎年大変な額が上がってきておりまして、その存続、維持というものが非常に大きな国家的課題になっております。その中で、やはり給付と負担の問題をどういうふうに考えていくのかということは、これはもうきれいごとではなくて、現実問題として我々に突きつけられた問題でありまして、そうでなければ次世代に引き継ぐことはできないと思っております。このためには、消費税を初めとした安定的な財源の確保というものが重要でありまして、そうしたことを国がどういうふうに判断をしていくのかということが一番大きなこの問題の根幹であると私は思っております。  介護保険制度は、制度設計者である国において、その中で継続した制度とするために今さまざまな判断が行われているわけでありますけれども、京都府といたしましても、府内の介護給付が2,000億円を超えて、毎年大体80億円以上増加していく中、年間300億円を超える額を負担して制度を全力で支えているということを、私は御理解いただきたいと思います。  そして、老人医療助成制度につきましては、これはまさに全国トップであります。そうしたものを私たちは厳しい財政の中で維持をしてきているということを、私はやっぱり理解をしていただきたいなと思います。それはいろいろと言えば切りがないんですけれども、全国トップで頑張っているということはやっぱり評価をしていただきたいと思います。  それから、国民健康保険についてでありますけれども、被保険者の年齢構成が高く、医療ニーズが高い一方で低所得者が多く、保険収入が少ないという構造的な問題を抱えております。前は農業とか林業、それから自営業者の方の保険でありましたけれども、今一番多いのは無職とフリーターとかいった方々の保険でありますので、そうした点でこれから市町村単位による運営では、遅かれ早かれ非常に難しい状況が生まれる、小規模市町村においては限界を迎えるということでありますので、私は都道府県化単位というのが必要であるというふうに考えております。これは国民皆保険を守っていくためにも必要であると思います。  しかし、そのためには国も汗をかくべきでありまして、このため全国知事会長として、国に抜本的な財政基盤の強化を強く求め、毎年度約3,400億円という今繰り入れている額に相当する財政支援の拡充を実現したところであります。これは全体として、確実に市町村の財政負担の軽減につながるものであるということは、浜田議員も御存じのとおりだと思います。そしてその中で、市町村がどういう形で納付金を決定し、そして一般会計からの繰り入れを行うか。これは一般会計からの繰り入れも可能な仕組みになっておりますので、それは市町村議会、市町村の皆さん、住民の皆さんが、市町村長の判断のもとにそれをイエスかノーかという話でありますので、それが京都府の責任であるというのは、これは全く筋が通らない話だと思います。  こうしたことを前提に、納付金の算定ということについて、しっかりと私どもは市町村ごとに課題ごとの部会を設置し、協議を今重ねているところであります。今後、制度開始に向けた検討、調整が本格化する中で、国保制度改革の実現に支障を来すことがないよう、国に対してこれからも強く要請し、信頼される国保づくりに取り組んでまいりたいと思います。  保険料の一部負担金の減免につきましては、市町村との協議を経て、平成24年3月に京都府の基準を定め、災害時や病気、失業等による所得が減少した際にも受診できるよう市町村に周知徹底を求めてきておりまして、引き続き被保険者の生活実態に応じたきめ細やかな対応がなされるよう、必要な助言・指導を行っていきたいと思っております。 28: ◯議長村田正治君) 浜田良之君。    〔浜田良之君登壇〕 29: ◯浜田良之君 再質問をさせていただきます。  社会保障をめぐって、財源問題を知事は述べられました。そもそも消費税の導入以来、高齢化社会のため、社会保障のためと言われ続けてきました。しかし、消費税創設以来28年間で、その税収は327兆円にも上りますけれども、ほぼ同じ時期に、法人3税は270兆円、所得税や住民税も260兆円も減ってしまいました。不況による税収の落ち込みに加え、大企業や富裕層への減税が繰り返されたからです。消費税はその穴埋めに消えてしまい、社会保障にはほとんど使われてきませんでした。社会保障財源と言えば消費税という消費税頼みのやり方では、この失敗を繰り返すだけです。私ども日本共産党は、税金の集め方、使い方、働き方をチェンジすれば、消費税に頼らなくても社会保障は拡充できると財源も示しております。ぜひ、そのことは御承知おきいただきたいと思います。  そして、介護保険制度を持続可能な制度にしていこうと思えば、今、実態は、負担増で介護難民がふえ、介護職員の待遇悪化で施設が潰れていく。こうなれば介護保険制度そのものが潰れてしまうではありませんか。介護・医療をめぐる最大の問題は、負担が重く必要な介護が受けられない、診療を控えるなど命にかかわる事態になっているということです。そうした実態について、京都府として調査をすべきではありませんか。  また、高齢者医療助成制度について、知事は全国トップの制度だというふうに言われます。しかし今重要なことは、高齢者は年金が減らされる一方で介護保険料や利用料は上がり、その上、医療費の窓口負担がふえて、安心してお医者さんにもかかれない、こういう事態になっているということです。知事はこうした高齢者の置かれている実態についてはどう考えておられるのか、答えていただきたいと思います。  国民健康保険制度については、知事も言われたように構造的な問題があるわけです。その中で今、国が国庫補助金を大幅に減らしてきたために国保料を引き上げざるを得なくなって、高過ぎて払えない国保料となり、滞納が生まれ、国保財政が赤字になる、こういう悪循環が生まれているわけです。都道府県化にすれば市町村の負担が軽減されると言いますけれども、国保料が上がったのでは意味がありません。国庫補助金を減らしたまま都道府県化を行ったのでは国保料を上げざるを得なくなるではありませんか。都道府県化に伴って、さらに国保料が引き上げられようとしている。このことについては、知事はどう考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。 30: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 31: ◯知事山田啓二君) 最初に申し上げましたように、介護保険につきましては、まさに高齢化が急速に進展していく中で、どういう形で負担と給付を永続的なものにしていくかが問題なんです。別に私は共産党のおっしゃっていることに反対をしているわけではなくて、そういうことを抜きにして、反対しろ、賛成しろと言っても無理ではないかと。まさにそういう負担増ということをきちっと前提にして議論を進めていただきたいということを申し上げているだけですので、その点は御理解いただきたいと思います。  それから、老人医療助成制度については、まさに厳しい状況にあるから全国トップを維持しているわけですよ。それは全国トップであるということが証明しているというふうに私は思います。  それから、国民健康保険制度につきましては、都道府県化で値上がりするんじゃないんです。どんどん厳しくなってきて、値上げ圧力がある。それについて、都道府県にもう少し頼りたいという市町村がたくさんあるということも事実なんです。そこをどうやって調整するかということで、都道府県だけでは無理なので国に対しても3,400億円の新たな支出を求めたわけですので、都道府県単位化がその値上げにつながったわけではないんです。もっと構造的な問題として、値上げの圧力がすごくあって、それをどういう形で全体として解決するかということが求められているのでありますので、その点も御理解いただきたいと思います。 32: ◯議長村田正治君) 浜田良之君。    〔浜田良之君登壇〕 33: ◯浜田良之君 介護・医療の問題をめぐっては、やはり国が公的責任を投げ捨てて、負担増ばかりを迫る。こういうやり方に、今、医療・介護の関係者や患者とその家族らの怒りが広がっているところです。そういう状況のもとで、京都府には国の負担増から府民の命と暮らしを守る、そういう役割があると思います。先ほど、高齢者医療制度では頑張っていると言われましたけれども、全ての分野でぜひ頑張っていただきたいと思います。そのことを求めて、次の質問に移ります。  次に、子どもの貧困対策についてお聞きいたします。  伊根町では、子育てをしながらまちづくりに励む子育て世代を応援することを最優先にして、給食費や教材費、修学旅行費など義務教育にかかる費用を無償化しています。給食費については、笠置町でも無償化に踏み出すなど、独自の補助制度で無償化を行う自治体が広がっていますが、財政的理由でちゅうちょしている自治体も少なくありません。小・中学校の給食費の無償化は、貧困家庭の負担軽減につながります。国の制度として、給食費の無償化を求めるとともに、府として市町村への財政的支援を検討すべきではありませんか。  子どもの貧困対策としても中学校給食は極めて重要な課題ですが、京都府の実施率は神奈川県に続いて全国ワースト2位です。5月1日から親子方式の給食がスタートした八幡市の担当者に伺ったところ、「親子方式には国の補助金も出ないので、初期投資の6億5,000万円は市の単費になった。ハード面での京都府の補助があれば、中学校給食はもっと進むのではないか」と話されました。4年前に中学校給食の実施を決めた精華町では、いまだに実施時期が決まっていませんが、最大の理由は財政問題で、教室へのエアコン設置などを優先的に実施するために先送りされているとのことでした。久御山町では、来年度から中学校給食が実施されますが、財政的理由で、小学校と同じ自校方式は難しいと、民間委託の自校方式になったそうです。全ての市町村で中学校給食が実施できるように、市町村に対する補助制度に踏み出すべきではありませんか。  子どもの貧困対策としても、子育て支援対策としても、子どもの医療費助成制度の拡充は極めて重要な課題です。京都府少子化対策基本計画でも、子育て世代等の経済的負担の軽減の中で、「子育て世代の医療費の負担を軽減します」と明記をしています。しかし、本府の制度は、通院の場合3歳以上は月3,000円、この負担が貧困家庭には重い負担になっています。先日お会いした小学校2年生の女の子を育てているお母さんは、「月3,000円の医療費負担が重くて大変です」とおっしゃっていました。経済的な理由で子どもが医者にかかれないという事態をなくすためにも、この月3,000円の子どもの医療費負担をなくすべきではありませんか。  本府の「国の施策及び予算に対する政策提案」では、「国において、子どもの貧困率を初めとした各種調査を実施される場合は都道府県ごとの実態がわかるよう、大規模な調査をしていただきたい」と要望されておりますが、これは結局、子どもの貧困の実態がわかる調査を京都府はやっていないということを告白するようなものです。国任せではなく、京都府として全ての子どもを対象に、具体的な貧困の実態がつかめるような内容の実態調査を行うこと、これを強く要望しておきたいと思います。  続いて、青年・学生の暮らしの問題についてお聞きいたします。青年・学生をめぐる生活環境は、極めて深刻な事態となっています。街頭アンケートで私が対話した母子家庭のある女子学生は、「お母さんが介護職で月20万円足らずの収入のため、仕送りがありません。そのため、月10万円の利子つき奨学金を借りて学費に充て、生活費のために2つのバイトをかけ持ちで週19時間働いている」と言っておられました。また、ある集会で発言された、昨年4月から京都北部で社会福祉士として働いている女性は、「仕事にはやりがいがあるが、月3万円の奨学金返済があり、いつ破綻しないか、恐怖心がある」と語っておられました。府職労連の新採者へのアンケートでは、4割が奨学金返済を抱え、月7万円も返済している方もあったそうです。  国が給付型奨学金制度を創設しましたが、給付対象が限定的で、給付額も少額です。また、京都府が中小企業の従業員の奨学金返済負担を軽減する就労・奨学金返済一体型支援事業を創設しましたが、これはあくまでも中小企業対策になっております。今、求められているのは、奨学金返済の負担を直接軽減する施策ではないでしょうか。国に対して、給付型奨学金制度の対象拡大を求めるとともに、有利子奨学金に対する利子補給制度の創設など、京都府独自の奨学金返済支援制度をつくるべきではないでしょうか。  先日お話を聞いたある男子学生は、24時間営業のネットカフェでバイトをしていましたが、夜の9時から翌日の午後4時までという無理なシフトが組まれて、授業に行けず単位を落としたそうです。このように、学費を稼ぐために始めたアルバイトがブラックバイトで、大学の授業にも出れないという、本末転倒の笑えない事態が起こっているのです。この間、京都府、京都市、京都労働局の三者でブラックバイト対策協議会が立ち上がり、実態アンケートにも取り組まれたことは一歩前進だと思います。しかし、ブラックバイトを規制する有効な対策を行うためにも、行政、大企業、中小企業、府民などの役割を明記し、継続的な実態調査と公表、罰則規定なども盛り込んだ、ブラックバイト規制条例を検討すべきではありませんか。お答えください。 34: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 35: ◯知事山田啓二君) 子どもの貧困、そして青年・学生の暮らしについてであります。  学校給食につきましては市町村がその実施を行うわけでありまして、その給食の運営に要する経費、それから施設整備に関する経費については、国の交付金と交付税で手当てされておりまして、そうした中で市町村についても、京都府内でもかなり制度化が進んできているところであります。保護者の負担であります食材費などの学校給食費につきましては、就学援助という形で経済的に厳しい状況にある要保護、準要保護家庭の保護者に対しては全額または一部を補助する仕組みが制度化されておりまして、市町村においても実施をされているところであります。ですから、全ての保護者を対象に給食費の無償化を行うかどうかとなってきますと、全体としての給付と負担のあり方の問題でありますので、これはやっぱり設置者である市町村の判断でありますと同時に、ナショナルミニマムとして、どういう形で教育というものをやっていくのかという判断になろうかなと思います。このあたりは役割分担がされている話ではないかなと思います。  したがって、京都府におきましては、私どもとしては、子どもの貧困対策として今年度から地域で活動するNPOや自治会など支援団体と連携して、その活動状況の中で、子ども食堂も含めたこどもの城づくり事業に取り組んでいるという形で、広域的な補完対策を講じているわけであります。そして、その上で学校給食に関しましても、私どものできることとして、栄養教諭の配置の拡充ですとか、給食施設の改修に係る補助制度の創設などの財源措置の拡充などを国に強く求めているところでありまして、今後とも市町村から具体的な要望があれば、それに従って、私どもとしましても対応を考えてまいりたいと思います。  次に、子どもの医療費助成制度についてでありますけれども、この制度はまさに荒巻知事のときに創設をされて、私は3度にわたってその拡充を行い、これも私は市町村とともに全国トップクラスの制度になっていると思います。少子化対策というのは国策でありまして、こうした点を踏まえて、国に対しましても、ナショナルミニマムとしての義務教育終了までを対象に制度化を求めているところでありますけれども、これからも府下の市町村としっかりと連携しながら、どういう形で充実ができるか、これはもう全国的な問題でもありますけれども、検討を進めていきたいというふうに考えているところであります。  次に、大学生の奨学金の返済負担の軽減についてでありますが、今年度から実施する就労・奨学金返済一体型支援事業については、これは誰が一番得をするかを考えればすぐわかる話なんです。京都府と企業がお金を出して奨学金を受けている人に対して援助をするという制度ですから、中小企業対策ということではないでしょう。ただ、それを通じて中小企業にとっても人材確保ができるという点では、そうした側面も持っているということは言えるのかもしれませんけれども、施策でありますので、まさに貧困問題対策そのものであります。そして、これまで意欲と能力のある学生が経済的理由で進学を断念することがないよう、私どもはその上に立って大学の奨学金制度の充実を国に直接要請し、全国知事会でも国に対して緊急提言を行い、教育費の負担軽減施策の充実を要請しますとともに、「地方創生に資する人材育成・確保等に関する緊急決議」の中でも、給付型奨学金制度の創設等を昨年11月に要請したところであります。  こうした要請を受けて、国の平成29年度予算におきましては、給付型奨学金の創設、無利子奨学金貸与人員の4.4万人増、低所得世帯の子どもたちに係る無利子奨学金成績基準の実質的撤廃、国立大学、私立大学の授業料の減免等の充実などの制度充実が図られてまいりました。そして私どもは、その上でまた6月8日の国への政策提案でも、その拡大や人員の拡大等を改めて要望しました。  京都府としては、その一方で、就労・奨学金返済一体型支援事業のほかに、高校生に対する高校生等修学支援事業として貸付制度を着実に実施するとともに、これも全国トップクラス、まあトップだと思いますけど、あんしん修学支援事業を実施し、高校生の皆さんの修学について、しっかりとそれを守る活動を展開しているところでありますので、こうした点も御理解いただきたいなと思います。  次に、いわゆるブラックバイト問題についてでありますが、これまでから労働局における監督・指導の徹底と京都府、京都市、労使団体による周知啓発、そして大学生、高校生に対する労働関係法令の周知啓発を行ってまいりました。その中で、御指摘のように京都ブラックバイト対策協議会を設立し、アンケートを実施するなどにも取り組んでまいりました。ブラックバイトに対しまして、違法なものにつきましては、これはもう法違反の話になってまいりますので、それは労働局を初めとして監督・指導が行われ、厳しい規制を行っていく。そしてその中で、規制強化としましては、労働基準関係法令違反の企業名等のホームページでの公表や職業安定法が平成29年3月31日に改正されまして、ハローワークや職業紹介事業等におきまして、労働関係法令の事業所の全ての求人不受理など、強化が図られてきているところであります。こうした観点からも、私どもといたしましてはしっかりと法律が守られるように国、都道府県、市町村、労使が力を合わせて頑張っていくということが一番必要ではないかなと思っておりまして、今後、実態調査と課題解決へ向けて具体的な方策を進めるなど、ブラックバイト根絶への取り組みをしっかり進めていきたいと思います。 36: ◯議長村田正治君) 浜田良之君。    〔浜田良之君登壇〕 37: ◯浜田良之君 まず、給食費の無償化ですけれども、伊根町に府内の他市から2人の子どもを連れて移住をしてこられた方が、「給食費の無償化を初め、義務教育の無償化は本当に助かります。お金だけじゃなくて、みんなで子育てをしているという安心感が一番ありがたい」と話されたように、本当に喜ばれております。一方、八幡市の例ですけれども、小学校が1食240円で年間4万7,000円、中学校が1食280円で年間5万5,000円と、子育て家庭にはかなり重い負担になっております。やはり給食費の無償化がどうしても必要だと思いますが、知事は国との関係でナショナルミニマムで求めていくと言われましたけれども、全ての保護者を対象に無償化しようとすれば、その経費をどこに求めるのかということで、結局、本府の国の施策及び予算に対する政策提案では、給食費の無償化については要望されておりません。しかし、子どもの医療費の助成については国に要望されています。ぜひ、子育て世代の皆さんの切実な要望である給食費無償化の実現へ、国に助成を求めていただきたいと思います。そして、全ての市町村が給食費の無償化に踏み出せるように、京都府として支援をぜひ検討していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。  中学校給食についてですけれども、知事は「府内の市町村が取り組んでいて、要望があれば応えていく」というふうに言われましたけれども、結局、これは市町村の努力の後追いだと思うんです。全国でワースト2位という位置にあるわけですから、これを引き上げるために、やはり京都府が率先して支援をするということが必要ではないかと思います。このことについてお答えいただきたいと思います。  奨学金の負担軽減ですけれども、国の給付型奨学金制度というのは、結局、対象が2万人で、現在奨学金を借りている学生132万人のわずか1.5%にすぎません。京都府の支援事業は、先ほど府と企業がお金を出してやると言われましたけれども、その企業の側、中小企業の経営者からは、「半額を負担するのは厳しい」という声が上がっているのも事実であります。だから、国の制度も、京都府の制度も、奨学金を受けている全ての学生が軽減の対象になるような制度に改善すべきではないかと思います。ぜひ、お答えいただきたいと思います。 38: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 39: ◯知事山田啓二君) それぞれの市町村が子育て対策のどこに重点を置くのか。結局、その料金をとらないということは税金で払うわけですから、総合的な少子化対策をどう展開するかという大きな目で我々は支援をしていくべきだと思いますし、そして、その後の判断というのは市町村に任せていく。市町村が役割分担を担っていることに対して都道府県が、あれもやれ、これもやれというのは、私はまさに地方自治の根幹という言い方からすれば、非常におかしな意見だなと思います。ですから、我々は全体としてのメニューを用意して、その中でいろいろな形をやっていくということと、それは国に対してナショナルミニマムとして求めていく。さらには、市町村ではできにくい補完的なことをしっかりとやっていくというのが広域的な行政団体としての都道府県のあり方でありまして、そうした観点からも、これからも子どもの総合的な少子化対策を進めていきたいと思います。  それから、奨学金返済一体型ですけれども、まさに中小企業対策ではないということを、今、浜田議員、図らずもおっしゃったわけでありまして、そうした面は確かにあると思います。しかし、それは中小企業のためにもなるんだよということで、私どもも税金を負担してやっているわけでありまして、実は国に対してもその拡充を求めているところでもあります。 40: ◯議長村田正治君) 浜田良之君。    〔浜田良之君登壇〕 41: ◯浜田良之君 知事は今、子どもの貧困対策で、市町村が求めているものに応えていくというふうに言われましたけど、きょう私が提起をした給食費の無償化や中学校給食の実現、子どもの医療費の無料化の拡充、これはいずれも市町村が要望されていることでありますので、ぜひ応えていただきたいと思います。子どもの貧困の問題も、青年・学生をめぐる深刻な生活環境の問題も、日本と京都の将来にとって一刻も放置できない問題だと思います。事態の根本的な解決のために総力を挙げて取り組んでいただくことを求めて、次の質問に移ります。  次に、京都南部地域の課題について、数点お伺いしたいと思います。
     第1に、京都南部のまちづくりについてお聞きいたします。城陽市の東部丘陵地に、三菱地所グループのアウトレットモール進出が内定との報道がありましたが、商圏は京滋を中心に近畿地方の広範囲に及び、近隣の商店にも影響を与えることは必至です。京都南部では、学研地域や新名神周辺などでも、大企業や大型ショッピングモールの誘致による経済の活性化を期待する動きがありますが、京都府が主導する大企業呼び込み型のこうした開発が、京都南部のまちづくりや活性化に果たしてつながるでしょうか。  私はこの間、京都南部の中小企業団体や中小業者の皆さんから直接お話を伺ってまいりました。宇治市の商工関係者のお話では、個人事業所では、前年と比べて売り上げが20%落ち込み、税金の申告額は40%も落ち込んでいるとのことでした。京田辺市では、「製造業の人材不足が深刻」「単価はこれ以上下がりようがないところまで下がっている」などの現状が出されました。機械金属関連の工場の多い久御山町では、「工場の家賃や電気代などの固定費の支払いが大変」「メーカーから単価を抑えられても断れない」「最盛期と比べて売り上げは半減している」などの現状が出されました。宇治市内の商店街では、「観光客が多い宇治橋通りや平等院表参道は元気だが、その他の商店街は厳しい状況」とのことでした。京田辺市では、「大型店やコンビニに押されて、個店が廃業に追い込まれている」というお話でした。こうした地域の現状を見れば、京都南部でこそ、地元の中小企業を直接応援する施策、地域循環型の経済政策への転換が必要ではないでしょうか。  京都府はこの間、府内の約300の商店街を対象にカルテを作成し、4つのランクに分けておられますが、支援しているのは元気で意欲のある一部の商店街にとどまっています。例えば、群馬県の高崎市など各地で商店街の活性化につながっている商店リフォーム助成制度の実施など、苦労しながら頑張っている全ての商店街に京都府の支援が必要ではないでしょうか。また、製造業が多い京都南部地域では、工場の家賃や電気代などの固定費への支援を行うべきではないでしょうか。  京都南部のまちづくりにも影響を与える北陸新幹線の延伸についてお聞きします。昨年12月に、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームが小浜・京都ルートを決定し、3月15日には京都-大阪間の南部ルートを決定、松井山手駅を中間駅とする最終報告が出されました。4月28日の環境・建設交通常任委員会で、北陸新幹線敦賀-大阪間の整備計画について建設交通部から初めて説明があり、質疑が行われました。そこで明らかになった問題点についてお聞きします。  1つは、自然環境や文化財、地下水への影響の問題です。環境・建設交通常任委員会では、自民党委員からも危惧の声が出され、理事者も「市街地の地下に入る場合の環境問題や日本一多い文化財も問題ですし、地下水は伏見の水源でもあります。非常に多くの課題もございますので、我々も課題の抽出を京都市と一緒になって行い、国にしっかり物を申していくことが大事だ」と答弁されています。自然環境や文化財、地下水などへの影響が懸念をされる大都市の地下トンネルを掘って新幹線を走らせる計画について、知事はどう考えておられますか。  2つは、地元自治体の財政負担の問題です。同常任委員会では、「駅の整備だけでも数百億円、駅周辺整備を行えば、別途費用がかかる」と説明がありました。それに対して、地元の委員からは「京田辺市の年間予算は240億円しかないところに、数百億円もの事業になる」との不安の声が出されました。新幹線延伸に多額の税金をつぎ込むよりも、バス路線の拡充や山手幹線の渋滞解消など生活交通の改善にこそ、税金を使うべきではありませんか。  3つは、JR奈良線や片町線など並行在来線はどうなるのかという問題です。予算特別委員会の書面審査では、理事者は「最終的には運営主体であるJR西日本が決めるということになってくるわけですが、これまでの実例から言いますと、東海道本線が対象になるのではないかと考えています」と、大変曖昧な答弁をされております。在来線の切り捨てを絶対に許さず、奈良線の複線化やバリアフリー化など在来線の充実こそ求めるべきではありませんか。  京都南部の課題の第2に、京都南部の医療体制についてお聞きいたします。「京都府地域包括ケア構想(地域医療ビジョン)」では、山城南医療圏では約半数の患者が圏域外に流出しているので、病床の確保を図るため病床数をふやす目標となっています。京都南部の医療関係者にお話を聞きますと、「今後、高齢化の進行や疾病構造の変化も考えられる。住まいに近いところに病院があり住みなれた地域で包括的な医療が受けられる環境が必要です」「地域医療ビジョンで、山城南医療圏の病床数を50床ふやす目標になったのは評価するが、医師や看護師をふやさなければ意味がない。山城南医療圏域は医師も看護師も府内で最も少ないのだから、北部のように特別の対策が必要です」と、率直な声が寄せられました。そして、医療機関の皆さんは、医師、看護師の確保のために全国に勧誘に回るなど、必死の努力をされています。  ところが、昨年の9月議会の一般質問での答弁で山田知事は、「山城南医療圏は他の医療圏との連携が深いところで、奈良県に4分の1ぐらい、山城北と京都市内の医療圏にまた4分の1ぐらい患者が流出するというのは、他の医療圏に見られない特徴となっていて、これは交通の便とか地勢的な要素もあると思います」と答弁されました。知事は、他の医療圏に依拠するのでなくて、山城南医療圏内で完結することが必要だと思われませんか。お答えください。  次に、南部の小児救急医療体制についてお聞きいたします。山城北医療圏では、八幡市では深夜に子どもが急病になると、田辺中央病院や枚方市民病院まで連れていかなければならず、しかも病院で長時間待たされるという事態もあり、市内に小児救急対応病院をつくってほしいという長年の要望が実って男山病院が輪番病院に加わりました。しかし、男山病院は週1回で、ほかの日の夜に子どもが急病になれば田辺中央病院か宇治徳洲会病院に走らなければなりません。一方、山城南医療圏では平日夜間にも対応されるようになったことはよかったと思いますが、週4日は田辺中央病院が輪番病院ですから、深夜に遠くまで子どもを連れていき、長時間待たされるということが起こります。しかも、田辺中央病院と宇治徳洲会病院に過重な負担がかかることになり、この間、宇治徳洲会病院で小児科医が相次いで退職するという事態も起こりました。やはり二次医療圏内で完結すべきではないでしょうか。  山城南医療圏の小児科医は京都山城総合医療センターに3.5人、学研都市病院に1人という状況で、平日4日間を山城南医療圏で対応しようと思えば、小児科医が少なくとも、あと二、三人は必要とのことでした。知事は、小児救急医療体制の拡充を求める声をどう受けとめておられますか。両医療圏への小児科医の配置拡充の見通しはどうなっていますか。お答えください。 42: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 43: ◯知事山田啓二君) 京都南部地域の課題ということで何点か御質問がありました点についてであります。まず、その中で商店街の支援についてでありますけれども、厳しい状況にある地域商業の活性化を図るために、その中核を担う商店街を支援していきたいということで、平成27年に商店街創生センターを創設いたしまして、それぞれの商店街の実情に応じた支援を行っております。ただ、商店街振興のためには各商店街がその気になってもらわなければならないということは間違いないと思っておりまして、別に元気のあるところを応援しているわけではなくて、元気があるところは余り応援しなくていいんです。ですから、例えば古川町商店街は、かつては東の錦と言われたんですけれども、本当にシャッター化、マンション化が進んで、60あった店舗が半数になってしまうような、正直言って、私も行ってびっくりするほど元気がない商店街だったんです。それを何とかきちっと往時の隆盛を取り戻したい、でも往時のやり方では無理だということで、私どもはモデル的にこれをやった。そして外部人材の導入も図る中で、今、新たな芽が出て、そしてそれが商店街の皆さんの意欲につながっております。これを特にやったのは、やっぱりこういうモデルがあるんだ、こういう形でやれば、意欲を持てば、商店街は再生できるんだというモデルをつくりたいという思いがありました。もちろん古川町だけではなくて、府下においてもそういったものを今やっていて、こういう中で、全部の商店街が意欲を持てるような状況をつくりたい。ざっと一遍にやったって、そう簡単にうまくいくものではないですよ、これはきれいごとではないんですから。そうした中で我々は一つ一つ成功体験を積み重ねながら、全ての商店街が意欲を持てるように、これからも伴走支援に努めてまいりたいと思っております。  次に、固定費の支援なんですけれども、景気が回復基調にある現在におきましては、どちらかというと受注拡大に伴う人手不足等のほうがかなり厳しい状況になっておりまして、このために中小企業人材確保センターを立ち上げて、さまざまなマッチングですとかOJT、ジョブトレーニング等を行っているわけであります。その中で固定費については、これまでからリーマンショックの際なども長期低利の緊急資金対策融資ですとか短期のつなぎ融資や、円高対策の緊急補助など、経済情勢に応じてそこに手を打ってまいりました。現在も省エネ対策を初めとする経営改善の取り組みを支援するステップアップ事業ですとか、エネルギー面での新しい効率化を支援する京フェムス推進事業など、それぞれに応じた形で固定費の削減に向けて中小企業の応援をしているところでありますので、御理解をいただきたいと思います。  それから、北陸新幹線の敦賀-大阪間についてでありますけれども、小浜-京都の直通という形で国が決定をしたわけでありますけれども、これは環境面などで課題もありますので、私としては、ルートがある程度見通せる、現状のルートを考えながら進めることができる、そして京都府にも大きな受益があるということで舞鶴ルートを主張してまいりましたが、それが通らずに、残念でなりません。このため、本年3月の与党PT検討委員会や6月8日の政府提案におきまして、この小浜-京都ルートについて自然環境や生活環境の問題、河川、鉄道、高速道路との交差、山岳部のトンネル工事、都市部での地下工事等における技術的な問題について、慎重な調査を求めているところであります。  整備新幹線自身は、交通事業者が投資採算性を踏まえて整備するバスや在来線などと財政的な仕組みも異なっておりまして、法律に基づいて国家プロジェクトとして国が整備を行い、地方はその受益に対して負担をしていく形になりますので、こちらが空いたから、こちらへ回せるという形のものではないと。京都に受益があるところで我々は負担をしていくという形になります。  並行在来線につきましては、新幹線整備区間と並行する形で運行する在来線というのは東海道本線でありまして、この前、国に対する北陸新幹線の決起大会でも私から、これは関西の総意として、関西に在来線問題はないということを改めて確認を求めたところであります。ただ、地域交通は、幹線網と、そして生活鉄道とが一体となってネットワークを形成していくことによって初めて効果がより大きなものになりますので、京都府としましては、与党PTの場や政府提案におきましても、特に北陸新幹線の場合は片町線の複線化、そして今も進めている奈良線の複線化や鉄道駅舎のバリアフリー化、こうしたものに対しても国に対して求めているところでありまして、引き続き、在来線の充実について取り組んでまいりたい。在来線の充実があって初めて北陸新幹線も効果的な幹線になるということをこれからも訴えていきたいと思っているところであります。  次に、京都府南部の医療体制についてでありますけれども、山城南医療圏は、関西文化学術研究都市周辺での宅地開発等によりまして、人口が増加する全国的には非常に数少ない圏域でありまして、これは京都府の関西学術研究都市構想とか、こうしたものが着実に実を結んだ成果であります。急激にふえてまいりましたので、そうした中で人口当たりの医師数が少ないという観点がありますけれども、交通網について基礎的なインフラが非常にしっかりしておりますので、京都市や奈良市への利便性が高いという特徴があります。こうした中で山城南医療圏における医療従事者につきましては、この10年間の約10%の人口増加に対して、医師は111名から153名と約40%ふやしました。看護師さんに至りましては479名から721名の約50%増という形で、確実に人口増を上回る形で医療の整備を行っているということについては御理解いただきたいと思っております。そして、地域の核となる山城総合医療センターの医師数も、昨年と比べて5名増加させるなど強化を図っているところであります。そして、さらに圏域を越えた広域の救急搬送体制として、関西広域連合によるドクターヘリも、大阪ヘリに加えて京滋ヘリも運航するなど、そうした体制も充実させております。新名神高速道路の城陽-八幡京田辺間も開通しておりますけれども、ある面でいきますと、南部の皆さんにとりましては、症状や専門性に応じた病院の選択肢の拡大ということも可能になっている。そうした中で、我々はこれから地域の発展に応じてより広域的に対応すべき医療を総合的に考え、地域にふさわしいバランスのとれた医療体制を構築していきたいというふうに考えております。  次に、府南部地域における小児医療についてでありますけれども、これまで京都府では、地域医療確保奨学金貸与制度に小児科特別加算制度を創設いたしまして、臨床研修でも産科・周産期の重点プログラムを設置、またNICUを担当する医師の加算手当などによりまして小児科医師の確保に努めてまいりました。その結果、少子化の進行により15歳未満の小児人口が減少する中、府南部地域の平成26年の小児科医師数は67名で、10年前と比べまして8名増加をしておりまして、小児人口10万人当たりの医師数も改善をしております。小児救急につきましても、順次、輪番参加の病院をふやし、現在、京都山城総合医療センターや田辺中央病院を初め5病院で平日夜間、そして土日・祝日の輪番体制を確保しております。さらに、小児科医は今、全国的に大変不足なことが大きな問題になっておりまして、京都府はどちらかというと防戦に努めている現状でありますけれども、その中において、病院で勤務する特に小児科医の約4割が女性という点も踏まえて、短時間勤務や宿直免除への助成、復職支援研修に加えて今年度は新たに子育てをしながら勤務する女性医師が緊急の呼び出し等に対応できるような保育サポートの仕組みを構築しているところでありまして、これらの取り組みを通じ、小児科医のさらなる確保を図る中で、府南部地域における小児救急医療体制の充実を進めていきたいと考えているところであります。 44: ◯議長村田正治君) 浜田良之君。    〔浜田良之君登壇〕 45: ◯浜田良之君 まず、指摘・要望を2点させていただきます。  久御山町を初め、製造業の多い京都南部では、「仕事がなくても、工場の家賃や電気代などの固定費は払わなければならない、その負担が重い」という声が多数寄せられています。固定費支援というのは、そうした中小零細企業の置かれている実態から具体的にどういう支援策が必要なのかということを要望しているので、ぜひ検討していただきたいと思います。  それから、医師確保対策の問題ですけれども、知事はふやす努力をしてきて、一定数ふえてきているというふうに言われていますけれども、特に京都の場合には医師の偏在という問題が非常に重要な課題で、「国の施策及び予算に対する政策提案」でも、医師の地域偏在及び診療科偏在の解消対策、とりわけ府内の多くの2次医療圏で人口10万人対の医師数が全国平均を下回っている小児科や産科などの診療科において、地域偏在の解消対策を要望されていると思います。だから、認識は同じだと思うんです。これを国に要望するのはもちろんですけれども、ぜひ京都府として、さらに対策を強めていただきたいと思います。  再質問を2つさせていただきます。  1つは商店街の問題ですけれども、先ほど知事はモデルをつくってそれを広げるんだと言われましたけれども、それはもう待っていられない事態が多くの商店街で起こっています。府内の商店街の多くがシャッター通りになり、存亡の危機に陥っております。それなのに、大きな商圏を持つアウトレットモールや大型ショッピングモールを誘致すれば、地元の商店街はますます苦境に陥るだけではないかと思います。商店街カルテに基づいて、商店街支援を進めるために商店街創生センターがつくられましたけれども、手厚い支援が最も求められている多くの商店街にはなかなか手がつけられていないのではないかと思います。  先ほど知事も伴走支援ということを言われましたけれども、南部の商工会議所でお話を聞くと、そういう伴走支援を行う経営支援員が足りないと言われておりました。支援が必要な全ての商店街への支援を行うためには、商工会議所や商工会の経営支援員の抜本的な拡充が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。  それから、北陸新幹線の延伸問題ですけれども、国に対する要望の中で、先ほど知事が述べられたような駅ルートの公表に向けた詳細な調査だとか、財政負担のあり方の問題とか、いわゆるアクセス路線として片町線の複線化なども要望されておりましたけれども、結局そういう問題がまだ解決をされていないもとで、府民が納得できる説明もされていないもとで、延伸ありきで計画を進めるべきではないと思うんですけれども、その点のお考えをお答えください。 46: ◯議長村田正治君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 47: ◯知事山田啓二君) 商店街対策については、これまでから私どもも、例えばアーケードへの支援とか、空き店舗対策とか、さまざまな対策をかなり満遍なく講じてきたんです。その中で、伴走支援をきちっとやるためにはモデルをつくって、そうしたものを示しながらやっていかないとなかなかうまくいっていないという現実がある。そして、その中で300の商店街のカルテをつくって、一つ一つの商店街とお話をしながら、意欲があるところに対してそれをやっていくという形をとっているわけでありますから、手順としては、この手順が一番確かではないかなというふうに私は思います。  それをどうやって急速に広げていくかという問題は、我々としても今、一生懸命やっていかなければいけないけれども、経営支援を初めとする私どもの支援体制というのも全国的にいっても充実しておりますし、その中でエコノミックガーデニング方式で年間2万件も回っているという実績も見ていただきたいなと思っているところであります。  また、アウトレットモールと商店街とは、行かれればわかると思うんですけれども、全然違うものでありますので、そうした点をごちゃまぜにして言うのはちょっと。ぜひとも竜王とか三田とか行って、なるほど、ここはこの商店街に影響があるなみたいな話をおっしゃるのであれば、我々も理解ができるんですけれども、それは少し、何か言いがかりだなと思います。  それから、北陸新幹線の問題は、国家的な幹線として国において整備を進めるという中で京都府としての主張をしてきているわけでありますから、私どもとしましては、その中で一番、京都にとってやっていかなければならない。これはもう北陸の皆さんが本当に熱望されて、地域間格差をなくすためにぜひともやっていただきたい。そして、関西全体でもやっていく。それについて京都府としては、そういう全体像を見ながら、懸案する複線化についてはきちっと指摘していくという態度をとっているわけですから、これも御理解いただきたいなと思います。 48: ◯議長村田正治君) 浜田良之君。    〔浜田良之君登壇〕 49: ◯浜田良之君 商店街の問題もそうですし、中小零細企業を含めて、私は改めて南部の地域をずっとこの間回らせていただいて、本当に深刻な実態になっていると。先ほど来、商店街でモデルをつくって広げるのが一番いいやり方だと言われましたけれども、そうこうしているうちにも次々と商店街がシャッターをおろしていくという事態になっているわけですから、早く手だてを打たなければならないと思います。  それから、アウトレットモールのことを言われましたけれども、私は一つの例として挙げただけで、やはり大企業呼び込み型の開発だとか、新幹線の延伸だとか、これは京都南部の住民が決して望んでいることではないと思うんです。住民が求めているのは、公共交通の充実であるとか、歩いて買い物ができる商店街の活性化とか、医療体制の拡充、これらを求めているのだと思います。それらにこそ京都府の支援を強めるということを強く要望いたしまして、最後の質問に移りたいと思います。  南部の課題の最後に、府立高校入学者選抜制度・高校改革の現状について伺いたいと思います。  府教育委員会は2004年、山城地域で南北通学圏を統合し広域化して総合選抜制を廃止し、単独選抜制を導入しました。それ以降、府内全域での府立高校の特色化を進め、全ての通学圏で「受検機会の複数化」として前期・中期・後期の3段階選抜を導入しました。山城通学圏では広域化と単独選抜を導入して14年経過し、3段階選抜導入後4年たった今、府立高校の本来の役割である「どの地域にあっても、希望する全ての子どもたちに、お金を心配することなく必要な学びの場を保障する」、このことが鋭く問われる問題が起こっています。  私はこの間、山城地域の中学生・高校生の保護者や教職員の皆さんから、府立高校についての意見を伺ってきました。保護者の皆さんからは「入試制度が複雑でわかりにくい。願書で希望校の第1順位、第2順位をどう書くかにより毎年競争倍率が変動する。希望する高校はもちろんあるけれども、公立でないと経済的に大変。合格できそうな高校を選ぶしかない」「主体的に進路を選択できるのは勉強ができる生徒だけ。不本意に遠くの高校へ通わなければならない。遠距離通学となり通学費負担が重い。朝早く帰りも遅いので親子ともに負担が大きい」「総合選抜制では、合格すれば自宅から一番近い高校へ入学できた。地元の子どもが通えるよう地域枠を設定してほしい」「前期選抜は定員枠が少なく多くの子どもが不合格になり傷つく。同じ高校を中期で受検して合格できた。なぜ不合格体験を多くの子どもにさせるのか」など、率直な意見がたくさん寄せられました。  また、ことしの入試では、3つの高校で合わせて60人もの定員割れが生まれました。その一方で、中期選抜で公立高校を希望しながら合格できなかった生徒は125人にもなっています。後期選抜では、6人しか定員は埋まりませんでした。志望する生徒はたくさんいるのに前期選抜で多くの不合格者を出し、最終的に54人もの定員割れを起こし、結果として公立高校の入学枠を狭めるという、歴史的に見ても重大な事態が起こったことを、どう考えておられますか。  総合選抜制度をやめ、地元地域定員枠などをなくし、単独選抜、3段階選抜を進めてきたことによって、府教育委員会が言っている「生徒が行きたい高校を主体的に選べる制度」という説明とはかけ離れた実態になっていることは明らかだと思います。府教育委員会として、これを検証し、総括すべきではありませんか。  多くの不合格者を出し、子どもたちを傷つけ、受検競争を激化させている前期選抜制度は廃止するとともに、地元地域定員枠を設けるなど地域制を取り入れ、希望する生徒が近くの高校へ通える制度へ改善するべきではないでしょうか。  また、本府の公立高校通学費補助制度は、月2万2,100円あるいは1万7,000円を超える部分の半額を補助するというもので、残りは保護者負担になります。そのため、昨年度の支給実績はわずか66人でした。例えば、和束町湯舟から木津高校に通う生徒は年間で28万7,680円通学費がかかりますが、補助額は1万1,240円で4%にもなりません。こうした事態になっている通学費補助制度を抜本的に拡充するよう求めますが、いかがですか。お答えください。 50: ◯議長村田正治君) 橋本教育長。    〔教育長橋本幸三君登壇〕 51: ◯教育長橋本幸三君) 浜田議員の御質問にお答えいたします。  公立高校の入学者選抜についてでありますが、全国的に制度の見直しが進む中、唯一残っていた総合選抜制度のもとでは、合格者の入学先を機械的に割り振ることになるため、合格しても希望する高校に入学できないなどさまざまな課題が見られたところです。このため、平成26年度に最後となりました京都市・乙訓通学圏についても、中学生が主体的に高校を選べるよう単独選抜制度に移行するとともに、受検機会の複数化や多元的な評価尺度を取り入れた選抜制度に改めたところであります。  一方で、全国的に通学圏が拡大される傾向が見られる中、本府においては従来から地域ごとの通学圏や口丹以北の高校に学区枠を設けるなど、地域枠を取り入れた制度を維持しております。現行制度のもとで多くの中学生がみずから高校を選び、入学後も目的意識を持って取り組んでおり、中途退学率の低下やこの春の大学進学率の向上など多くの成果があらわれていることから、中学生が主体的に進路を選択できる現行制度を継続してまいりたいと考えております。  また、入学者選抜である以上、当然、希望した全ての生徒が高校に合格するものではありませんが、定員割れが生じないよう各高校で特色ある取り組みを中学生に積極的に発信するとともに、より適切な募集定員の策定に努めてまいります。  通学費補助につきましては、保護者の経済的負担の軽減を図るため、全国的にも数少ない通学費補助制度を実施してきております。近年、地域活性化等の観点から、市町村において通学定期代の一部補助に取り組まれるなどさまざまな状況の変化も見られることから、こうした状況なども踏まえ、さらに検討を進めてまいります。 52: ◯議長村田正治君) 浜田良之君。    〔浜田良之君登壇〕 53: ◯浜田良之君 私はこの間の高校制度及び入試制度の改革によって、どういう事態が現場で起こっているのか、保護者や教育現場の皆さんの声や客観的な事実を紹介いたしました。最初に言いました公立高校を希望しながら54人も定員割れが起こったわけですから、それらの生徒にとっても保護者にとっても負担のかかる私学に行ったり、あるいは通信制に入らざるを得なかったりしたということになっています。これでは公立高校本来の役割が果たせていないのではないかと思うわけですけど、こういう事態が起こったことについて、教育委員会としてはどう考えて、どう改善しようとしているのか、明快な答弁がなかったと思いますので、もう一度答えていただきたいと思います。  全体として、公立高校の本来の役割、先ほど私が述べたような、どの地域にあっても、希望する全ての子どもたちにお金の心配をすることなく必要な学びの場を保障すると、この公立高校の本来の役割とはかけ離れた事態が起こっているのではないか、このように指摘をさせていただいたわけで、そのことについて府教育委員会はどのように認識しているのか。少なくとも、府教育委員会として、この間の高校制度及び入試制度の改革はもう14年たってきたわけですから、これが何をもたらしているのかということをしっかりと検証するということが少なくとも必要ではないかと思うわけですけれども、その点についてお答えください。 54: ◯議長村田正治君) 橋本教育長。    〔教育長橋本幸三君登壇〕 55: ◯教育長橋本幸三君) 浜田議員の再質問にお答えいたします。  定員割れの問題についてでございますけれども、議員は全て公立高校に入学できるようにというお考えのもとおっしゃっているかと思いますけれども、先ほど総合選抜制度の見直しの中で触れましたように、多くの生徒には、今は希望する学校というのがそれぞれあります。それを選択して、その学校へ行きたいということで受検をしております。今回、定員割れとなった山城圏の学校、そのうちの2校につきましても後期選抜を行っておりますけれども、その際にも志願者数というのは数名にとどまっております。したがいまして、最終的な定員の未充足数をもって入学枠を狭めたといったような批判というのは適当ではないものというふうに考えております。  ただし、これも先ほど申しましたけど、定員割れを起こす理由の一つには、希望するニーズと定員枠とのミスマッチのようなものがあると考えられますので、この点につきましては先ほど御答弁させていただきましたように、中学校への高校の特色の一層の発信や、また希望動向を踏まえた適切な定員設定に努めてまいりたいと考えております。 56: ◯議長村田正治君) 浜田良之君。    〔浜田良之君登壇〕 57: ◯浜田良之君 今、教育長の答弁の中で、公立高校での定員割れが起こったことについて、ミスマッチということを言われましたけど、それは実際にそこで落ちた子どもたちに、そんなことを言えるのでしょうか。ミスマッチだったから諦めてくれということになるのでしょうか。希望した公立高校に入れなかった子どもたちに対して、それは言っていい話ではないと思います。率直にこれは反省していただきたいと思いますし、きょうお話ししたように、いろんな声を私は聞いてきましたけれども、やっぱり今の高校教育制度にさまざまな矛盾が起こっているというのは事実だと思うんですよ。そこを絶対に目を背けずに、しっかり検証していただきたい。もう14年たっているわけですよね。それで、実際に南部でお話を聞きますと、明らかに高校間の格差も起こっていて、さまざまな矛盾が起こっているということは明らかなわけですから、これはぜひ検証していただきたいと思います。  最後に、私はきょう、子どもたち、高校生、青年・学生、中小業者、高齢者など、府民の置かれている深刻な実態を示して、その打開策を求めさせていただきました。しかし、知事と教育長の答弁は、そうした府民の実態に心を寄せたものではなかったと、残念でなりません。今こそ、府民の切実な声に耳を傾けて深刻な実態に心を寄せ、府民の命と暮らしを守る府政への転換を目指し、広範な府民の皆さんと力を合わせて頑張る決意を述べさせていただきまして、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 58: ◯議長村田正治君) この際、午後3時50分を目途に本会議を再開することとし、休憩いたします。    午後3時32分 休憩            ────────────────────    午後3時53分 再開 59: ◯副議長(山口勝君) 休憩前に引き続き、会議を行います。  次に、林正樹君に発言を許します。林正樹君。    〔林正樹君登壇〕(拍手) 60: ◯林正樹君 公明党議員団の林正樹でございます。私は、さきに通告しております数点につき、知事並びに関係理事者に質問いたします。  まず、本定例会に上程の補正予算案等の議案について一言申し上げます。  人口減少局面に入っている京都府がその活力を発揮するため、都市部から移住やUIJ就職による人材還流を促進するための「京都ワーク・ステイ」人材確保緊急対策事業費は、府外大学生が府内企業等での各種体験を行う事業であります。自転車保険加入義務化を盛り込む「自転車の安全な利用の促進に関する条例」改正案並びにその周知啓発に係る事業費、スポーツ王国・京都を推進する京都アイスアリーナ(仮称)の用地造成に係る整備費や京都スタジアム(仮称)の用地に係る財産取得など、いずれも時宜にかなった議案として評価するとともに、今後の委員会審査等においてしっかりと議論してまいります。  それでは、質問に入ります。  まず、雇用対策についてお聞きします。  本年5月30日に京都労働局が発表した京都府内の雇用失業情勢によれば、京都府内の有効求人倍率は1.49倍で1973年5月以来、高度成長期並みの高水準となっており、正社員の有効求人倍率も0.96倍になるなど、雇用情勢は着実に改善が進んでいるとの判断が示されました。私も議員にならせていただきまして10年、その当初から経済不況やリーマンショックなどにより、この本会議場においては求職難、雇用確保が主要なテーマであったことを思い返しますと、求人難、人手不足の時代を迎えていることに大きな変化を再認識する次第です。  直近のデータにおいても、産業別で製造業、情報通信業、学術研究、専門・技術サービス業等が前年同月比で増加、地域別でも府内のハローワーク別で一部地域にへこみはあるものの、人手不足は全業種、そして多くの地域で深刻化していることを示しています。  労働需要の増加に加え、少子高齢・人口減少による生産年齢人口の減少という社会構造の変化のもと、労働供給の不足が恒常化し得る構造的な問題になっているとも指摘されています。中でも、中小企業、小規模事業者の人手不足はより深刻であり、これまでも取り組んできた経営改革や業務効率化、労働生産性の向上、そして潜在労働力の掘り起こしなどを通じた人材確保において、業種別、規模別、地域別の状況を踏まえる必要があるのはもちろんのこと、特に重要だと考えておりますのが、これまでも議会質問で取り上げてきた潜在労働力としての女性、高齢者、外国人など、さまざまな人材の発掘、確保・定着までの支援であります。  そこでお伺いします。  本府においてはジョブパークでの就業支援などを通じて、これまでもさまざまな人材確保に先駆的に取り組んでこられたところですが、現下の状況を踏まえ、今後どのような支援策を講じていかれるのか、御所見をお聞かせください。  また、さまざまな人材を発掘していくためには、中小企業・小規模事業者に対して、働き手の立場に立った職場環境の整備等への助言や支援がより重要となっていくと考えます。あわせてお聞かせください。  次に、難病・がん患者を雇用する企業への支援策導入についてお聞きします。  本府では、京都府難病相談・支援センターや京都府がん総合相談支援センターにおいて、難病・がん患者等の就労支援に取り組んでいるところです。しかしながら、こうした取り組みは、患者側の就労意欲とともに、患者の治療と仕事の両立に配慮して雇用する企業側の理解があって初めてマッチングできるものであります。したがって、こうした患者の雇用に尽力している企業に対する支援策が重要と考えます。  東京都は本年度、都道府県単位では全国初となる、患者の治療と仕事の両立に配慮する企業を支援する「難病・がん患者就業支援奨励金」を創設しました。この奨励金は、新規採用時の採用奨励金と復職を支援する雇用継続助成金の2つから成っています。採用奨励金は、都内のハローワークから紹介を受けた難病・がん患者を、週所定労働10時間以上の常用労働者として新たに雇い入れること、雇い入れ時に労働者と話し合った上で、就業時に必要な配慮事項を定めた支援計画を策定し、6カ月以上雇用を継続すること、雇い入れた労働者が都内の事業所に勤務していることなどを要件とし、企業規模は問わず、週所定労働時間に応じて、1人当たり40万円から60万円を事業主に支給するものであります。一方、雇用継続助成金は、難病・がんの発症などにより1カ月以上休職した労働者が復職した際、その労働者と話し合った上で支援計画を策定し、6カ月以上雇用を継続すること、復職した労働者が都内の事業所に勤務していることなどの要件を満たした中小企業に対し、1人当たり30万円を支給。さらに、復職時に治療と仕事の両立に配慮した勤務・休暇制度を新たに設けた場合、1制度当たり10万円(最大30万円)を加算するものであります。  難病やがんにより仕事を失うことは、経済面での損失だけでなく、生きがいの喪失にもつながります。企業にとっても大事な人材である従業員を支え続ける負担は重くのしかかります。だからこそ、こうした患者を支える企業に対する助成は意義があり、大変に重要です。また、短時間勤務の活用や柔軟な休暇制度など、治療や検査のための通院や体調の変化に適応しながら働くことができる環境整備にもつながります。  そこでお伺いします。  共生社会の実現、また人材確保という観点からも、今御紹介しました東京都の先進事例も参考にしながら、難病・がん患者を雇用する企業に対する支援策を京都府においても導入すべきと考えますが、御所見をお聞かせください。  東京都の支援策は、その対象を難病・がん患者に限定した取り組みではありますが、私はそうした枠には入らないものの、例えばがん経験者、難病指定されていない慢性疾患の患者、自主的に障害認定を受けていない人、更生施設出所者など、これらの人々をここでは便宜上ボーダー層と名づけますが、さまざまな就労支援策の対象とはなっていない、もしくは対象となっているものの十分ではない、しかしながら個別の困難な状況に応じた配慮が必要なボーダー層への就労支援も重要と考えております。  そこでお伺いします。  こうしたボーダー層への相談・支援体制のさらなる拡充を求めるとともに、こうした方々を雇用する企業に対する支援についても、より積極的な支援を講じるべきと考えますが、あわせて御所見をお聞かせください。  次に、留学生への支援についてお聞きします。  本府における外国人住民は、2016年12月1日現在5万4,398人で、京都府人口の約2%となっています。国籍別外国人住民数では、韓国・朝鮮籍の人は約2万6,700人と減少傾向であるのに対し、逆に中国籍の人は約1万4,400人、次いでベトナム約2,200人、フィリピン約2,100人と続いています。全体の傾向として、特別永住者でありオールドカマーと呼ばれる韓国・朝鮮籍の人が大きく減少し、ニューカマーと総称される比較的新しい在住外国人、とりわけベトナム、ネパールなどの人が急増しています。  さて、京都における外国人住民の特徴の一つとして、留学生の多さが挙げられます。2016年5月1日現在の大学等に在籍する留学生は8,011人となっており、高度な学力と旺盛な向上心を持つ若き留学生が京都で学び暮らし、日本と母国、そして国際社会をつなぐかけ橋となっていることは大変にすばらしいことであります。しかしながら、そのうち経済的な支援がある国費・政府派遣の留学生はわずか12%強、残る87.5%は私費留学生であります。これに加えて、日本学生支援機構の調査によれば、日本語教育機関に在籍する留学生も2016年5月1日現在で2,185人います。厚生労働省がまとめた2016年10月現在の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によれば、資格外活動を行っている留学生は2,520人となっておりますが、これら私費留学生の多くは、アルバイトなしでは日本滞在に必要な学費や生活費が賄えないものの、入管難民法で資格外活動として認められている週28時間以内の就労制限を守らなければならず、破れば不法就労として摘発対象となります。しかしながら、実際には就労制限が守られていないケースが多々あると指摘されています。  特に、出稼ぎ目的の、いわゆる出稼ぎ留学生の存在、教育よりも学費徴収等による収益や不法就労のあっせんに熱心な日本語教育機関、就労制限を守らない事業主など、悪質なケースがあることも仄聞しています。  そこでお伺いします。  本府においては、留学生オリエンテーションセンターや国際センター等を通じた生活支援など積極的な留学生支援に取り組んでおり、これを評価しているところですが、現に在籍している留学生の抱える就労問題、とりわけアルバイト等の現状をどう認識し、把握しておられますか。こうした課題を把握するための留学生意識・実態調査を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
     また、留学生へのアルバイト等の問題に関する情報提供や相談体制を拡充するとともに、同問題に係る日本語教育機関や事業主などに指導・監督を行う権限を有する入国管理局や京都労働局に対して、その取り組みの充実強化を強く働きかけるべきと考えますが、御所見をお聞かせください。  佐賀県では、経済的に厳しい状況にある私費留学生を対象に、個人や企業、団体などの支援者と県、NPOが協働しての私費留学生支援事業を実施しています。こうした取り組みも参考にしながら、私費留学生への支援についても事業化すべきと考えますが、いかがでしょうか。  留学生の誘致や受け入れ体制の整備を進める留学生スタディ京都ネットワーク、さきに紹介した在籍中の各種支援に加え、府内における海外人材の活躍を促進するため、日本での就職を支援する取り組みも重要であります。今月、日本、京都での就職を目指す留学生を支援する「京の留学生支援センター」を京都ジョブパークに開設し、個別相談や人材育成、企業とのマッチングなどをワンストップで支援する取り組みを拡充したところでありますが、どのような成果を上げようとしておられるのか、留学生が在籍している大学等との連携、就職後の定着支援とあわせ、御所見をお聞かせください。  まずは、ここまでの答弁をお願いします。 61: ◯副議長(山口勝君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 62: ◯知事山田啓二君) 林議員の御質問にお答えいたします。  林議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の補正予算案に対しまして高い評価をいただき、厚くお礼を申し上げます。  まず、企業の人材確保についてでありますけれども、御指摘にありましたように、有効求人倍率は本年4月、1.49倍と、3人の求人に対して2人の求職しかないという状況でございまして、これだけ高いと景気状況はよくなったという感じはするんですけれども、人手不足は深刻化してくるという形になります。そして、少子高齢化の中で、ものづくりだけではなく介護や保育など生活を支える福祉基盤なども人手不足であり、深刻な状況が生まれつつあります。  このため、昨年12月に開催した京都労働経済活力会議において、オール京都で京都ならではの働き方改革により、人材確保・定着と正規雇用化の促進に向けた取り組みを実施すること、そして女性、若者、高齢者、障害のある人など、あらゆる人が輝ける社会を目指すことを確認したところであります。まさに私どもが目指します共生社会の実現には、全ての人が能力を発揮できる社会が前提だけに、各層にわたるこういう雇用対策というものが必要であるというふうに考えております。  若者につきましては、建設、運輸、福祉等、人手不足が顕著な分野でのOJTによる技能取得を含めた伴走型支援を行う若者就職支援等推進事業を実施しておりますし、女性につきましては、マザーズジョブカフェとウィメンズベースとが連携し、子育て後の仕事復帰の支援を初め、企業に対してはテレワークや在宅勤務制度の導入をアドバイス、また職場の女性用トイレや更衣室を整備するための助成など、働きやすい環境づくりに取り組んでいるところであります。高齢者につきましては、京都ジョブパーク内に生涯現役応援コーナーを新設し、企業OB人材や元気シニア人材を開拓しております。障害者につきましても、農業への就労促進を図るきょうと農福連携センターを開設し、障害者の新たな職域を拡大するほか、職場定着をサポートするため、臨床心理士の導入に要する経費等を助成しております。そして、京都の外国人留学生につきましては京の留学生支援センターを開設いたしまして、求人開拓を実施するなど、幅広く人材発掘、確保、そして定着支援に努めているところであります。  今議会にも府外大学生等に企業体験や地域交流を通じて将来的な京都への就職につなげるための予算をお願いするとともに、7月には府内最大規模のインターンシップフェアを開催する予定にしております。また、企業に対しましても、ジョブパークにおいて人材確保に向けた魅力を発信いたしますとともに、就労環境の充実を支援するため、本年7月に就労環境改善サポートセンター(仮称)を京都テルサ内に設置いたしまして、長時間労働の是正や従業員の処遇改善など、職場定着を支援するアドバイザー派遣や職場環境整備等の支援制度を実施しているところでありまして、こうしたことを通じて企業の改善活動を伴走支援しているところであります。  今後とも、人材発掘の取り組みに加えて、全ての人が働きやすい環境の整備や意識改革に向けてオール京都で取り組みを続けていきたいと考えております。  次に、難病・がん患者を雇用する企業への支援策についてでありますけれども、毎年、新たに難病やがんで苦しむ方が京都府では約2万人程度いらっしゃいます。こうした方が本人の希望に沿って生活をすることができる、またその中で働き続けることができるということは、これは社会全体にとっても大きな意味を持っているというふうに思っております。  このため京都府では、難病相談・支援センター、がん拠点病院等のがん総合相談支援センターを設置し、保健師やピアサポーターによる医療や生活相談を行いますとともに、ハローワークと連携し、就労継続や再就職の就労相談など、それぞれの症状、それぞれの個人の特性を踏まえた支援に取り組んでいるところであります。  現在、障害者総合支援法においては、対象となる358の難病患者やがんなどに起因した障害により身体障害者手帳の交付を受けておられる方につきましては、国におきまして、新たな雇用に対して特定求職者雇用開発助成金が、雇用の継続に対しましては障害者雇用安定助成金が適用されているところであります。加えて、がん患者につきましては、身体障害者手帳の交付がなくても国の雇用継続の助成金により、治療と仕事を両立するための支援はなされているところであります。  京都ジョブパークでは、企業からの相談に対して、こうした国の助成制度を紹介いたしますとともに、難病・がん患者の方が就労される場合には受け入れ企業に対し、通院や業務に当たっての適切な配慮内容の助言などを行い、個別具体的な対応を行っているところであります。しかし、難病指定されていない慢性疾患の方や症状が固定されていない場合など、助成制度の対象とならない場合もありますので、国に対しましては現在の助成金制度の拡充も含め、きめ細やかな対応ができるように求めているところでございますし、さらにその対応を強めていきたいと思います。  議員御指摘の東京都の制度につきましては、今年度から開始したばかりの事業でありますけれども、対象範囲をどこまでにするかとか、病気の程度の問題など国の制度との調整という問題も含めて、やはりこれから解決していかなければならない点もあると思っておりまして、実際の事業の適用も含めて、今後検証していく中であり方を考えていきたいなと思っております。それまでのところは、私が先ほど申しました総合相談支援センターやがん拠点病院の相談センターとハローワークやジョブパークとの連携をもう少しよくして、いろいろな面で状況に応じた対応ができるように柔軟な制度にしていきたいなと思っているところであります。  次に、留学生の支援についてでありますけれども、留学生の就労については、日本の大学のグローバル化というのが非常に大きな課題となっておりまして、政府におきましては留学生30万人計画を策定し、平成32年、2020年東京オリンピック・パラリンピックの年でありますけれども、ここを目途に留学生受け入れ数30万人を目指しておりまして、京都府も「明日の京都」中期計画において、平成30年度までに留学生受け入れ数1万人を目指しているところであります。そして、それに基づいていろいろな面で留学生の受け入れ環境を整えているところでありまして、例えばこれまで3つの留学生寮を整備し、オリエンテーターによる日本独自の習慣やマナーの指導、地域との交流を進めるとともに、さらに京都大学とも連携して大学指導型による留学生寮の整備もこのたび行うことにいたしました。そして、留学生スタディ京都ネットワークを設立し、今、留学生の総合的な支援に当たっているところであります。  留学生の現状は、日本学生支援機構が京都を含む全国の私費留学生の生活実態調査を実施しましたところ、調査では、学習研究費、生活費を賄うため、全体の約75%がアルバイトに従事し、その内訳は約80%が週25時間未満の状況にありますけれども、従事時間は週20時間以上25時間未満が約35%と一番多い状況になっておりまして、かなりの留学生の方々がアルバイトに相当の時間を割いている状況があると思います。  留学生の状況をさらに把握するために、生活実態調査を補完する形で、今年度、留学生スタディ京都ネットワークにおいて留学生向けの満足度調査を実施して、この実態把握にはさらに努めていきたいと思っております。  先ほどの生活実態調査によれば、それでも従事時間、週25時間以上の方が約15%おりますので、その中には週28時間を超える方がいることも懸念されておりますので、留学生寮での個別指導や警察署の講習会での啓発、そして留学生スタディ京都ネットワークのサイトでの注意喚起などを実施しております。  実際問題として、相談のほうは国際センターが受け付けているんですけれども、昨年度、625件の相談があったんですけれども、どちらかというと、卒業後のキャリア形成や就職したOBからの相談でありまして、アルバイトの相談は1件しかないという状況でありますので、そうした面からすると問題を掘り起こしていく対応が必要なのかなと思っております。  日本語学校生の就労問題に関しましては、これは入国管理局と京都労働局、府の警察本部などと京都府外国人労働者問題対策幹事会を設置いたしまして、新たな日本語学校の留学生受け入れに必要な法務省告示の基準を入国管理局が策定しましたので、こうした問題をしっかりと周知していきたいと思っております。  佐賀県の私費留学生支援事業でありますけれども、中を見ますと、どちらかというと、生活支援というよりも県民の方や企業との交流活動支援という形で行われていると思うんです。この点から申しますと、京都府でも今までに名誉友好大使約310名を任命いたしまして、そういう国際交流事業への協力などに参加してもらう形で、1年目の大使につきましては1人当たり年間8万3,000円を謝金として支払う形で実施をしておりますので、佐賀県は15名ぐらいですから、その点では佐賀の制度とそれほど変わらない制度になっているのではないかなと思います。佐賀県のほうは民間もうまく巻き込んだ形にしているのが特徴かなと思いますので、その点は学びたいと思うんですけれども、ただ留学生数が京都は8,000人に対して佐賀は250名ぐらいという差もありますので、そうした点も踏まえてできるだけ幅広い方が支援できるような体制をとっていくために、例えば京の留学生支援センターでの支援ですとか有償インターンシップなどの実施によりまして、もう少しいろいろな形で京都全体の底上げを図れたらいいなと思っているところであります。  次に、留学生の就職支援についてでありますけれども、平成17年度から昨年度までに留学生を対象に専任カウンセラーによる就職相談や就職ガイダンス、そしてジョブパークのカレッジの開催などによりまして、973名の就職が内定をいたしました。うち、京都企業は大体291名になっております。本年6月から、就労ビザの雇用管理、労働条件などの問題に対応するために、外国人雇用管理アドバイザーとして専門人材の配置や留学生専用の求人検索機の設置を行うという形で一層強化いたしまして、これを京の留学生支援センターとして新たな機構として設立をしたところであります。  今後、府内大学など92団体が参画し、オール京都で留学生の誘致、受け入れ体制の整備や留学生政策の総合調整を行います留学生スタディ京都ネットワークとも連携をして、就職内定者の拡大と定着支援セミナーの開催など企業支援に取り組んで、京都で学ぶ優秀な海外人材にこれまで以上に京都で活躍していただけるように支援をしてまいりたいというふうに考えているところであります。 63: ◯副議長(山口勝君) 林正樹君。    〔林正樹君登壇〕 64: ◯林正樹君 御答弁ありがとうございました。  まず、多様な人材の確保についてでありますが、やはり職場環境の整備、また意識改革等について、さまざまな層の方々に対する受け入れをしっかりとしていただけるような取り組みをさらに大きく前に進めていただきたいと思っております。  それから、先ほどお話にありました国の助成制度の対象の拡大についても、国に対してもしっかりと求めていっていただきたいと思いますし、京都府での取り組みも強化していただきたいと思っております。そうした制度にマッチしていないボーダー層がある意味では最も弱い立場の人たちとも言えると思いますので、ワークシェアリングでありますとかテレワーク、そうした新しい働き方とのマッチングともあわせて相談、対応から定着まで、個別にはしていただいている部分もあると思うんですけれども、伴走しながら一貫した就労支援策の構築をお願いしたいと思っております。  留学生の支援についてお話をお伺いしまして、留学生を受け入れることについて非常に熱心にしていく、そしてまた留学生が就職していくことについてもしっかりと押し上げていく、この在籍中の期間、とりわけ私費留学生であるとか日本語教育機関におられる留学生とかの生活の状況について、先ほど実態調査していただけるような御答弁がありましたけれども、しっかりとそうした課題も掘り起こしていただいて、また不法就労等にならないように関係機関との連携を図りながら取り組んでいただきたいと思っております。  今回の質問では取り上げませんでしたけれども、開発途上国等の外国人を一定期間受け入れ、生産現場での労働を通じて技能等を習得する外国人技能実習制度についても、これまでさまざまな課題が指摘されてきたところでありまして、本年11月施行のこれに関連する法律によって大きな制度改正が図られることとなります。京都府も、京都府職業能力開発協会を通じた技能実習評価試験に加えて、関係機関から成る地域協議会に関与することになります。さきの厚労省のまとめによれば、本府の外国人労働者数1万2,198人のうち、技能実習生が2,447人であり、今後も増加することが見込まれますことから、同法の施行に合わせて国や関係機関と連携を図りながら京都府としてその役割を十分果たせるように取り組みを要望するものであります。  いずれにしましても、京都府が進める共生社会の実現にあって、先ほど申し上げましたさまざまな難病・がん患者、そしてボーダー層も含め、留学生、外国人技能実習生等を、ともに学び、ともに働き、ともに生きる生活者として捉え、今後も各種施策を展開されるよう求めて、次の質問に入りたいと思います。  次に、京都府国民保護計画、とりわけ武力攻撃事態等に対する万一の備えについてお聞きします。  今、日本が直面している現実的な脅威は何か。1つはテロ、もう1つは北朝鮮のミサイルと私は考えます。テロについて、ある非営利団体の調べによれば、本年1月から6月8日までの間に、世界で548件のテロが発生し、3,747人が犠牲となっています。過去には、アルジェリアやバングラデシュなどにおいて日本人がテロの犠牲となる痛ましい事件が発生しております。イスラム国(IS)は「日本及び日本人はISの標的である」と犯行声明を出しています。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、テロ対策はさらに強化すべきであります。その意味から、既に世界187カ国が締結している国際組織犯罪処罰防止条約(TOC条約)の批准に向けて整備すべき国内法、改正組織的犯罪処罰法、テロ等準備罪がさきの通常国会で可決・成立したことは極めて重要であります。「唯一無二のテロ対策は、その発生を未然に防ぐこと」であります。TOC条約の締結によりまして、国際的な捜査機関同士の連携や情報共有が進むことから、我が国におけるテロリスト集団を初めとする組織的犯罪集団によるさまざまな犯罪への対応が強化されることを評価しているものであります。  もう1つは、北朝鮮によるミサイルであります。一昨年、日本共産党の志位委員長は「北朝鮮にリアルの危険はない」と発言しましたが、それから2カ月もたたないうちに北朝鮮は水爆と称する核実験を行い、この1年間だけでも20発以上の弾道ミサイルを発射するなど軍事的挑発を続けています。これはまさに、現実の脅威と言わざるを得ません。こうした事態への備えとして、我が国の平和と安全を守るための平和安全法制が一昨年整備されたことは、まさに画期的なことでありました。  さて、脅威に対する外交防衛態勢については国が取り組むべき事項でありますが、京都府は武力攻撃事態等に対する万一の備えとして、府民を守るための対処能力を高めることが重要であります。  そこでお伺いします。  直近では2016年2月7日、北朝鮮による弾道ミサイル発射に際し、全国瞬時警報システム(Jアラート)によってミサイル発射情報とミサイル通過情報の伝達がなされたところですが、これまでの弾道ミサイル発射時における情報連絡体制、府民への情報伝達の取り組み、この間に見えてきた課題についてお聞かせください。  既に本年3月に秋田県男鹿市、6月に山口県阿武町において弾道ミサイルを想定した訓練が実施、長崎県でも予定されていると仄聞しております。京都府国民保護計画に記されている武力攻撃事態等への対処能力を高めるため、京都府においてもこうした訓練を行うべきと考えます。御所見をお聞かせください。  次に、防災・減災対策、とりわけ車中泊避難体制の整備についてお聞きします。  昨年4月に発生した熊本地震においては、震度7クラスの地震が2度発生し、余震による家屋倒壊への不安、避難所のキャパシティー不足、プライバシーの確保、避難所に入れない事情がある等の理由により、被災者が指定避難所ではなく車中で避難する「車中泊避難」が多数発生し、従来にない対応が被災者支援を困難なものとしました。これを受け、本府は亀岡市をモデル市町村に選定し、「熊本地震を踏まえた車中泊避難対応検討会」において車中泊避難の課題や対応方針・対応案などを検討し、本年3月に取りまとめられ、その内容を参考に、5月の京都府防災会議において京都府地域防災計画が見直されたところです。今後は市町村において、各地域防災計画、避難所運営マニュアルの改訂が進められることとなっています。  この取りまとめは、抽出された課題や対応方針などがコンパクトにまとめられており評価しているところですが、1点、気になる考え方があります。それは、車中泊避難はもはや想定内であり、事前に対応を想定していくべきと位置づけながらも、住民の屋外避難は指定避難所への避難が基本であり、車中泊避難を推奨するものではなく、したがって地域住民への車中泊避難所の周知は平時から行わず、現に発災し、大規模な車中泊避難が発生すると見込まれる場合に行うというものであります。もとより、避難時は車やオートバイは使わないというのが基本ではありますが、これまでのさまざまな震災においても避難者の一定数が車中泊避難をしており、今後は熊本地震を教訓に大きな余震、本震への不安からその増加が見込まれます。発災時の混乱した状況の中で、車中泊避難場所の周知やその対応ができるのかという疑問も生じます。熊本地震でも問題となった車中泊避難に伴うエコノミークラス症候群などの健康問題、震災関連死についてもまとまった形で避難できていれば対応も適切に行えるものと考えます。  先日の報道によれば、政府は携帯電話大手3社と協力し、災害時に携帯電話の位置情報データを活用して車中泊の被災者らの所在を把握するシステムの構築に乗り出し、来年度以降の運用を目指しているとのことですが、こうした点も踏まえ、京都府の考え方と今後の取り組みについてお伺いします。  まず、京都府として車中泊避難に係る対応を進めるに当たり、その必然性と課題についてどう認識しておられるのか、御所見をお聞かせください。また私は、指定避難所を窓口とする、やむを得ぬ事情がある人のみとするなど、一定の条件を定めた上で平時から車中泊避難場所を周知し、対応体制を整備すべきと考えております。それぞれの地域事情によって対応も異なってくると考えますが、市町村における今後の地域防災計画改訂等に向けて、車中泊避難をどう反映させようとしているのか、御所見をお聞かせください。あわせて、商業施設や民間駐車場の確保に向けた協定の協議、締結の状況もお聞かせください。 65: ◯副議長(山口勝君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 66: ◯知事山田啓二君) 国民保護についてでありますけれども、北朝鮮によるたび重なるミサイルの発射は、ことしに入って既に10回を数えておりまして、強く非難をするものでありますけれども、情勢は大変緊迫した厳しいものがあるというふうに思っております。知事としましては、関係機関と連携して危機対応に万全を尽くしていきたいと思っておりまして、既に弾道ミサイルなど武力攻撃事態を想定した京都府国民保護計画を策定し、これまでからミサイルの破片落下を想定した図上訓練やテロ対策の訓練を実施してまいりました。  情報の提供につきましては、万一、弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下または通過する可能性がある場合にはJアラートが起動し、防災行政無線や緊急速報メールなどで府民に対し、できるだけ頑丈な建物や地下に避難することなどを知らせることになっており、この間、市町村危機管理担当課長会議を開催し、通信機器の緊急点検と政府が示した弾道ミサイル落下時の行動について、住民への周知徹底を要請しているところであります。  しかしながら、北朝鮮からはミサイル発射から着弾まで七、八分ぐらいであります。そして、Jアラートの起動時間を考慮すると、時間的にはほとんど余裕がないのが実情でありまして、こうした中、私どもといたしましては全国知事会や関西広域連合を通じ、国に対して被害想定や具体的な訓練方法などを示すように求めたところでありますけれども、国からの回答は、こちらのほうでも極めて短い時間で我が国に着弾することが予想され、弾頭の種類を着弾前に特定することが困難であるとともに、弾頭の種類に応じて被害の様子及び対応が大きく異なることから、特定の定量的な被害想定やそれに基づいたタイムラインは国民保護に関する基本方針にも記していないというふうに述べておりまして、かなり地域において考えてくれというような形になっているところであります。  このため、私どもといたしましては知事会を通じて、もう一度この対応について検討していかなければならないなと思っているところでありまして、なかなか難しい話だというふうに考えております。多分、どちらかというと、Jアラートが鳴ったときにはすぐに屋内避難をするか、物陰に隠れるか、地下街があるなら地下街に行くということを周知すること、多分、着弾後の訓練みたいな形がこれから重要になってくるのではないかなと思っておりますので、そうした点を踏まえて対応をさらに精査をしていきたいと思っております。  次に、車中泊避難体制の整備についてでありますが、災害対策基本法では、避難所は災害から避難した住民を一定期間滞在させる施設とされて、食料や日用品を提供し、必要な支援を行うことになっておりますので、これは原則として指定避難所への避難が効果的というふうに考えております。しかしながら、昨年の熊本地震では、避難所となるはずの体育館のメインアリーナ、私も見てまいりましたけれども、これの天井が損傷してしまったことや余震への不安、さらにはプライバシーの確保、ペットの問題、こうしたことから車中泊避難が多数発生しておりまして、アリーナの前が車の一大避難所になっておりました。そうした中で、避難者数の把握ですとか支援物資の提供などの課題が顕在化いたしました。  車中泊避難につきましては、国からいまだ対応方針は示されておりませんけれども、大規模な災害では避けられないと考え、昨年度、検討会を立ち上げ、専用の避難場所の確保、車中泊の場所の運営のルールづくり、そしてエコノミークラス症候群の防止などの健康対策、さらには指定避難場所への移行を円滑に行うための環境整備などについて、対応方針を取りまとめたところであります。  ただ、先ほど申しましたように、車中泊避難場所はあくまで補完的なものだというふうに考えておりますので、あらかじめ事前に周知して車中泊避難を促すということは、専門家も適当ではないというふうに言っているところでありまして、その中から、市町村においてもあらかじめ車中泊避難が可能な場所を選定いたしますとともに、健康被害防止のための環境整備や支援物資の備蓄等を行っておくよう、地域防災計画を見直したところでありまして、今後、市町村の地域防災計画の改訂に当たりましても、そうした中で地域の実情に応じた助言を図っていきたいと思っております。  なお、国が検討している避難者の位置情報データの活用につきましては、避難所以外の場所で避難する人の把握は可能でありますので、運用開始をもって活用を検討していきたいというように考えております。  駐車場の確保につきましては、その中で現在、府内の108カ所で約6万2,000台の駐車が可能という形で調査を行いました。現在、府内市町村では避難場所の選定を進められておりますけれども、大型ショッピングセンターやホームセンターなど民間商業施設との間に既に協定を締結した市町村もありますので、今後、そうした形もしっかりと踏まえながら、災害の状況に応じて柔軟な対応ができるように取り組みを進めていきたいと考えているところであります。 67: ◯副議長(山口勝君) 林正樹君。    〔林正樹君登壇〕 68: ◯林正樹君 武力攻撃事態等については、Jアラートが起動して実際に住民のもとにその情報が届くまでにほとんど余裕がないという状況があるということでお聞かせいただきました。やはり、そうした短時間の間にきちんとした対応ができるように市町村と連携を図りながら、府民の皆様によりどういった対処をすべきなのかについての積極的な周知・啓発をしていただきたいと思います。  それから、昨夜も大分で震度5強の大きな地震が発生しましたけれども、いつこの京都でも直下型地震、そして南海トラフ巨大地震の発生があるかというふうに考えますと、柔軟な対応ということでお話がございましたけれども、こうした車中泊避難が起こることを踏まえた対応、体制の整備について、国ともしっかりと連携を図り、また国の進める車中泊避難の把握のシステムなども踏まえながら取り組みを強化していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、次に性的指向と性自認に関する理解促進等についてお聞きいたします。  人には個性があるように、性のあり方も多様です。LGBTとは、同性を愛するレズビアンやゲイ、同性も異性も愛するバイセクシュアル、性同一性障害など心と体の性別が異なるトランスジェンダーの頭文字をとった略語で、性的少数者をあらわします。民間企業の調査によると、国内の13人に1人はLGBTだと言われています。最近はLGBTであることを明らかにした芸能人なども多くなり、性的少数者に対する理解は一定広がりつつあるものの、他方で社会の無理解や偏見による差別、人権侵害が今も続いており、当事者が直面する課題は、学校や職場、社会生活等、多岐にわたっています。  2011年6月、国連人権理事会は、性的指向と性自認に基づく人権侵害に明確に焦点を当てた初めての決議を採択。日本も賛同した同決議は、人権の普遍性を再確認し、性的指向や性自認を理由に人々が受けている人権侵害に対して重大な懸念を示したものです。2014年12月、オリンピック憲章に性的指向に関する項目が明記され、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、日本でも国際的な人権問題として議論し、法整備も含め検討していく必要があります。  本年5月、経団連が発行した「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」は特にLGBTについて焦点を当てた提言がなされています。また同月、国際人権NGOアムネスティ・インターナショナル日本より発行された「日本におけるLGBTの人びとへの差別~人権保障の観点から~」では、日本のLGBTの諸問題、無差別、雇用、健康、家庭生活の尊重、拘禁施設における差別、自然災害など緊急時の対応における差別の6項目について日本政府に対してさまざまな措置を勧告しています。  昨年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」の中では、「性的指向、性自認に関する正しい理解を促進するとともに、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりを進める」とされています。また、政治の分野でも、超党派議連「LGBTに関する課題を考える議員連盟」が立法検討ワーキングチームを設置し、各党が差別解消か理解促進かで議論を深めているところでありますが、我が公明党は性的指向・性自認の多様なあり方について社会の理解が進んでいるとは言えず、差別解消についての法制化よりも、むしろ性の多様性を尊重し、性的マイノリティーヘの理解促進を図る法整備を進めることが現実的であり、差別解消に向けた一定の方策と考えています。いずれにしましても、法制化に向けてはまだまだ時間がかかるものと見込まれていますが、これから自治体単位での取り組みが重要であると考えます。  そこでお伺いします。  京都府として性的指向や性自認に係る理解促進を図る取り組みをさらに拡充すべきと考えますが、これまでの取り組み状況と今後の方向性についてお聞かせください。また、LGBT当事者、団体との意見交換などを通じ、学校、職場、医療福祉施設、被災などの緊急時、民間や公共サービスなど、さまざまな現場での困難事例の実態把握に努めるとともに、合理的な配慮を行うための環境整備や具体的な指針を策定すべきと考えます。さらに、理解促進を図る条例や行動計画を策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。  最後に、官民データ利活用の推進を通じた多様な主体による地域課題の解決やまちづくりに関する取り組みについてお聞きします。  近年、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの急速な進展により、社会経済構造が大きく変化する時代を迎えています。こうした大変革の潮流を取り込んだ新たな京都府づくりの取り組みが今後ますます重要となってきます。先月30日、政府は官民データ活用推進基本法に基づく「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を策定し、データ大流通時代におけるその利活用推進、官民が保有するデータの相互オープン化、分野横断的な連携の仕組みの構築等、総合的な対策を講じていくことが必要としています。基本法では、都道府県においても、「都道府県官民データ活用推進計画」の策定が義務づけられていることから、政府がこの秋に示す計画のひな形も踏まえ、京都府においてもその策定が求められることとなります。  さて、昨年11月、当時所属していた総務・警察常任委員会の管外調査で、オープンデータを活用した横浜市の「LOCAL GOOD(ローカル グッド) YOKOHAMA」、以下ローカルグッドと言いますが、先進的な取り組みを学びました。ローカルグッドは、横浜市のオープンデータも含む各種データの加工による見える化、さまざまな地域課題とその解決に向けた取り組みの情報共有、そのための資金、技術、人材や知恵等の集約などを行うITプラットフォームという仕組みであり、NPOや企業、市民など多様な主体が参加して地域課題の解決に取り組んでいる活動に大変感銘を受けました。超少子高齢社会におけるさまざまな地域課題の解決やまちづくりのため、こうした先進事例も参考にしながら、データ利活用の推進を通じた多様な主体と連携を図らなければならないと考えます。  そこでお伺いします。  本府における推進計画の策定について、そのスケジュールと方向性についてお聞かせください。また、本府ではローカルグッドの取り組みなども参考にした新規事業、京都RESAS(リーサス)事業を本年度の予算で実施しておりますが、オープンデータやその利活用の推進をどのように進めていくのか、とりわけ多様な主体との連携についての考えをお聞かせください。 69: ◯副議長(山口勝君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 70: ◯知事山田啓二君) 性的指向と性自認に関する理解促進についてでありますけれども、これは少数者でありますがために根強い偏見や差別、不当な取り扱いを受け、また職場や学校において困難な場面に直面するなど、苦しんでいらっしゃる方がおられるということは訴えられているところであります。ただ、プライバシーの問題もありますし、本人にとって秘密にしたいという場合もありますので、そこは顕在化しにくい中で対応というのはなかなか難しい点があるのも事実だと思います。    〔副議長退席、議長着席〕  ただ、一人一人の尊厳と人権が尊重されるためには、こうした個性の違いや多様性を認めてお互いを尊重し、支え合うことが必要でありまして、そのためには、まずやはり啓発というものが重要になってくるのではないかなと思います。  京都府では、人権教育啓発推進法に基づき、施策の基本方針であります京都府人権教育・啓発推進計画(第2次)におきまして、性同一性障害と性的指向を人権課題の一つの柱として理解促進に取り組むこととしておりまして、具体的には新聞、ラジオ、啓発冊子、そして府や市町村、民間団体などを対象とした人権啓発指導者養成研修会、教職員への研修など、府民の理解と認識が広がるような取り組みを進めてまいりました。  環境整備につきましては、性的少数者の心情等に十分配慮したきめ細かな対応が重要でありますので、こうした点を考え、例えば学校では性同一性障害の児童・生徒について、自認する性別の制服、衣服の着用を認めたり、それから職員トイレや多目的トイレの利用を認めるなどの対応を行っているところであります。そして、来月からは弁護士による法律相談を京都府庁で月2回、宇治、舞鶴の総合庁舎でそれぞれ月1回、京都弁護士会の協力を得て実施をしてまいりたいと思っております。さらに、精神保健福祉総合センターの「こころの相談」ですとか、そうした対応もしていかなければならないと思っております。そしてその中で、できる限り具体的な事例に沿って改善を図っていきたいということで、このたび、飲食店内に掲げます営業許可の証明書という形で、通称名の記載を認めてきたところでもあります。  ただ、まだまだ課題は山積しておりますので、当事者団体がこの前、9項目264事例にも上ります社会で直面する困難リストの公表を行ったところでありますので、私どもとしましては、こうしたリストを前提として、関係者による研究会を立ち上げて、そして検討を進めていきたいと思っております。  条例につきましては、「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」が現在国会で審議されておりますので、それを踏まえることが必要ではないかなというふうに考えております。そのため、本年度は人権フォーラム等を開催して、まずやはり理解促進に取り組む、そして今後、推進計画に基づく毎年度の実施計画等にも位置づけ、理解促進と環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、官民データの利活用拡大と地域課題の解決についてでありますけれども、京都府では既にインターネット上で1万件を超える各種統計データ等を提供し、政策の研究、立案に役立ててまいりました。しかし、共生社会を目指す上では、官民データを最大限活用して多様な主体と連携しながら施策を進めていくことが必要となってまいります。そして、民間企業にとりましても、顧客ニーズを捉えた新たなサービスの創造のためには、官が保有する多種多様なデータサービスを活用するというのは非常に重要な意味を持っていると思いますので、そうした観点からも我々は官民データの活用を進めていく必要があると思っておりまして、このため、昨年度、国の官民データ活用推進基本法に先立ち検討を進め、それぞれのデータの見える化をいたしますとともに、アプリ等に2次利用しやすい形で公開をするオープンデータの蓄積と多様な主体との連携・協働による地域課題解決を目指すスマート京都推進プランを策定いたしました。このプランでは、オープンデータのポータルサイトであります京都データストア(仮称)を構築すると。そして、データを使いこなし、政策立案につなげる府職員を育成するための予算を計上しておりまして、8月中にデータストアの仮オープンに向け取り組み中であります。本サイトでは、オープンデータの公開のほか、他府県等との比較や経年変化の様子を容易に図表化できる機能を整備予定でありまして、データに基づき地域の活性化や交流人口の拡大に向けた施策づくりに役立てたいと思っております。  一方、さまざまなデータや情報通信技術を持つ民間企業とも連携して、データの分析や対話をもとにした協働型の地域づくりを進めることも重要でありますので、これは市町村や民間団体、企業、大学とデータ利活用の協議会をつくり、この協議会の主催によりまして、さまざまな分析機能の付加ですとか、その上での新しいサービスアプリの開発等に取り組んでいきたいと思っております。  そうした中で、今後、ビッグデータを使った健康対策から、例えばAEDの設置場所やツキノワグマの目撃位置情報などの総合的なGIS情報のオープン化など、非常に幅広くいろんなデータがあるわけでありますけれども、これがうまく整理されて活用できるように取り組みを進めてまいりたいと考えているところであります。 71: ◯議長村田正治君) 林正樹君。    〔林正樹君登壇〕 72: ◯林正樹君 御答弁ありがとうございました。LGBTについては、具体的な事例に即して取り組んでいくことが重要だということで、私もそのとおりだと思っております。さまざまな困難な事例について、その対応について、また研究会等を通じて議論していただく中で具体的な解決の形をしていくことが、また意識の改革にもつながっていくんであろうというように思っております。  また、東京オリンピック・パラリンピックに向けて世界中から多様な人が訪日する中で、LGBTツーリズムという考え方もございます。福岡県はLGBT支援団体と連携して、観光業者がLGBTに対応する際の配慮事項をまとめたガイドブックを作成し、そのセミナーを開催する予定にしているというふうな話も聞いております。こうした取り組みも参考にしながら、京都府において多様な人たちが生き生きと暮らせる社会の構築にさらに邁進していただきたいと思っております。  それから、官民データの利活用についてですが、横浜で調査させていただいた際に、改めて何が一番感銘を受けたかというと、その自発・能動性、そしてまた本当に自由な形での取り組みであったということが大変印象に残りました。今、さまざまな分野でいろいろな取り組みができるというお話がございましたけれども、まず、そのベースになるところのデータのオープン化等について取り組んでいただきながら、今後、京都の抱えるさまざまな地域課題の解決に向けて、官民一体となってさまざまな形で取り組んでいただくように求めまして、私の質問を終わらせていただきます。  御清聴まことにありがとうございました。(拍手)            ──────────────────── 73: ◯議長村田正治君) 以上で本日の日程は終了いたしました。明6月22日午後1時から本会議を開きますので、御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後4時52分 散会 発言が指定されていません。 ↑ ページの先頭へ...